妙手 仲合、同盟会話
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仲合会話
詩書満腹
表紙には「逍遙遊」との文字が書いてあるが、内容はどう見ても武術秘伝ではない気がする。
休みの間に、少しでも本に書かれた内容の意味を理解しようと、川岸をひとり散歩しながらこの本を読んでいた。
どんなに読んでも中身が理解できないと思っていた時に、後ろから声が聞こえた。
????:左の方向にあと三歩進むと、木にぶつかりますよ。
その声に驚いた私は反射的に右へ曲がった。
????:そちらに半歩だと、川に落ちます。
私は慌てて足を引こうとしたが、すでに間に合わなかった。
私はカナヅチであることを思い出し、水の中で手足をバタバタさせ始めたとき、
それが溺れることなどない浅い川であることに気づいた。
川の底で両足をついて立ち上がると、私のことを笑顔で見ている人がいた。
さっきまで私が読んでいた本を手にしている。
無剣:なんで助けてくれなかったの?
妙手:腰さえ水に漬からないくらいではありませんか。頭を冷やすのには、ちょうどいいかと。
つっ立ったまま、私を助ける気がまったく見えない彼を心の中で罵りながら、
私は川から上がった。
妙手:無剣、少し落ち着きましたか?
彼をわざと見ないようにして、濡れてしまった服を絞る。
妙手:「万物の理に従い、六種類の気の変化に精通すれば、天地を自由に往来できる。更に何を求めるや?」
妙手は私が読んでいた本を開き、興味津々に中身を見ている。
無剣:それじゃ泥棒よ。本だけを取るだけじゃなくて、盗み見をするなんて!
妙手:いなや、いなや。
妙手:小生はただ善意で本を拾ってあげただけ。そうしなければ、この本もあなたと同じく川に落ちてびしょ濡れになる運命でした。
妙手:それに小生がこの本を見つけた時既に本は開いていました。それが目に入っただけで、泥棒と言われるのは心外ですね。
無剣:屁理屈言わないで、早く武術秘伝を返して!
妙手:武術秘伝?あなた、この本をずっと読んでいて、まだ中身がわからないのですか?
無剣:これは「逍遙遊」の武術秘伝ではないの?
妙手:名前は「逍遙遊」ですが、武術秘伝ではありません。この中に武術の奥義を探そうとそても無駄ですよ。
無剣:では、なにが書かれているの?
妙手:そう焦らずに、座ってください。ゆっくり教えて差し上げますよ。
彼は周りの木の枝を集めて焚火を作り、
こちらに来いと私に手招きした。
妙手:ここに座ってください。早く服を干さないと、風邪ひきますよ。
渋々と彼のところにいって腰を下ろす。火の近くにいるだけで、全身が徐々に
暖かくなっていく。
無剣:説明して。その「逍遙遊」とは、どんな本なの?
妙手:こんな話があります。鯤という、北海に生きる伝説の魚がいた。
身体は数千里にまで広がって、さらに鳥に化すこともでき、その時には鵬と呼
ばれる。九万里の先まで空へ飛べるとも言われている…
無剣:そんな生き物いるんだ。ほんとなの?
妙手:あなたはどう思いますか?
無剣:なぜ私に聞くの?あなたは何でも知っているでしょ?
私はその生き物を見たことがないから…実際に存在するかどうか、私に教えて?
妙手:世界は、どこまでも広い。見たことがないだけで、その存在を否定することはできません。
聞いたことがあっても、縁がなければ目にすることはないのですから。
無剣:ふぅん・・・そういうあなたは、さぞかし世界のいろいろなところに行って、不思議なものをたくさん見てきたんでしょうね?
妙手:そうですね。たくさんとは言いきれませんが、少なくはないですね。
無剣:あなたみたいに色々な場所に行って、見聞を広められたらいいのに。
妙手:万巻の書を読み、万里の路を行く。胸中もとより自ら丘壑有れば何処でも天下になれる。
無剣:いっぱい本を読んだせいで、話し方もうんちくだらけになっているけど。
妙手:うんちくとは失礼な。小生は博学というのですよ。
無剣:少し褒めただけなのに、天にも昇るくらい調子に乗るのね!
妙手:天に昇ることに耐えられるのなら、一緒に連れていってあげますよ。
無剣:天に連れて行って、何をしてくれるの?
妙手:もちろん、あなたが気になっていた鯤鵬を見るのです。
無剣:鯤鵬はほんとに実在するの? 冗談ではなく?
妙手はいつも手にしている扇子で私の頭を軽く叩き、笑顔で私を見つめる。
妙手:あなたはどう思いますか?
椽大之筆
ふと、ここは前に妙手と会った場所だと思い出した。
石ころを拾って川に投げる。「ポチャン」という音とともに、
水面が波打ち、小さな輪を作っていく。ぼーっと眺めていると、その輪の真ん中に妙手の顔が見えるような気がした。
無剣:気のせいかな?今日はしきりに妙手のことを思いだすみたい
妙手:ほう?私のことが忘れられないのか?
突然、背後から笑い声が聞こえる。驚いて私は危うく川に落ちかけた。
無剣:妙、妙手?!本当にあなたなの?
妙手:あなたの後ろにずっといましたよ。水面に映る私の影に気がつかなかったのですか?
無剣:それは、私は…
妙手:へえ?
無剣:なんでもない!
無剣:そういえば、あなたはなぜここにいるの?
妙手:あなたがひとりでここへ来るのを見て、また川に落ちるかもしれないと思って見に来たのです。
妙手:さっきからずっと水面を見つめていましたが、何が見えたのですか?
無剣:それは… 金魚を見ていたの。
もう少しで「あなたの顔が見えていた」と言ってしまいそうだったが、
咄嗟に金魚だと嘘をついた。
妙手が大笑いをするなんて思ってもいなかった。
無剣:何がおかしいの?
妙手:この川で一匹でも金魚を見たことがありますか、無剣?
ああ、あれ、間違ったかな?
妙手:あなたらしいですね。
手にした扇子で自分の掌をポンと叩き、やれやれと言わんばかりに彼は微笑み、首を振る。
妙手:金魚は人の家で育てられるものですよ。ここは自然の川です。
簡単に嘘がバレてしまい、私は顔を伏せた。
無剣:じゃ…ここは金魚が見えないの?
妙手:いなや、いなや。
余裕たっぷりの彼の様子を見て、心の中に疑問が生まれた。この態度の意味は何なのだろう?
私の心を見透かしたかのように、彼は私に向かって手を差し伸べる。
妙手:川に確かに金魚はありません…でも…
妙手:何なら、この何もない小生の手に、金魚を呼び出す?
無剣:それも出来るの?
妙手:冗談ですよ。何もないところに何かを呼び出せたら、そりゃ神様かなにかだ?
妙手:でも、がっかりするあなたは見たくない。
これを。
妙手の着物の袖が翻る。不意に、何もなかった彼の手の中に一輪の色鮮やかな山茶花があった。
無剣:綺麗な花…
妙手:無剣、気に入りましたか?
妙手は笑顔で、その花を私に差し出した。
無剣:何ていう技?すごいな。
妙手:江湖を日々生き抜くために使う技だけです。
妙手:そうだな…「妙手生花」と呼びましょうか。
無剣:この間は博学でさんざん自慢して、今度は「妙手生花」ですって。あなたって人は…
妙手:言っておきますが、これは自慢じゃなくて自信です。
無剣:はいはい。感服しました。
無剣:私にも教えてくれない、そのコツ?
妙手:嫌ですね。
無剣:え、なぜ?
妙手:あなたの師になど、なりたくないからです。
妙手は扇で、いつものように私の頭を叩く。その行為から優しさは感じられなかった。
守株待兎
見ていると、彼は時折しゃがんでは草の中に何かを探しているようだ。
それから、樹々の中を歩き回った後、中の一本の木陰に腰を下ろし、目を閉じた。
音を立てないように彼に近づく。目を閉じたまま、彼は微笑んでいた。
ふと、ある考えが頭に浮かんだ。彼の鼻でもつまんでやろうかな。
手を伸ばすと、穏やかに目を閉じていた彼が突然目を開けた。
妙手:無剣、ほら座ってください。
驚いて、私は慌てて手を引っ込めた。
無剣:付いてきてたのを知っていたの?
妙手:ここにいるのが誰なのか、まだわかっていないようですね。
妙手:手の技を競うなら、誰にも負けませんよ。
無剣:そう、ここで何をしているの?
妙手:株を守りて、ウサギを待つ、というやつですね。
無剣:株を守りてウサギを待つ?
無剣:兎を捕まえるの?
妙手:そう思いますか?
無剣:もう推測なんてしないよ。あなたの問題は毎回思いもよらないもない答えで、当たったためしがないんだもん。
妙手はにっこり笑って、私を見つめる。はっきりしないが、彼の目には優しさの欠片が見えるような気がした。
妙手:待っていたものが、来たようだ。
無剣:なに?
妙手:シーッ、手を出してみてください。
無剣:え?
恐る恐る、自分の手を彼の方に突き出す。彼が袖をひと振りすると、
もふもふしている何かが、私の掌の上に現れた。
無剣:こ、これは、ウサギ?!
真っ白な可愛いウサギが、私の手の上に乗り、その赤い目が私を見つめている。
無剣:本当にウサギを捕まえたの?
無剣:どうやったの?どうしてこの子は逃げ出さないの?
妙手:足に怪我をしていて、逃げられないのです。
よく見ると、ウサギの右足は少し硬直しており、白い布が巻かれている。
無剣:あなたが手当てをしたの?
妙手:昨晩、怪我したこの子を見つけて、少し手当をしました。
今日もまだ森の中にいるかもしれないって思い、ちょっと探しに来てみたのですよ。
無剣:もう、なにが「株を守りてウサギを待つ」なのよ…
妙手:待っていたら、あなたが来た。違いますか?
妙手が私に向かってかすかに微笑んでいる。
妙手:この子はあなたと縁があるみたいだ。まだ痛みもあるだろうから、しばらく面
倒を見てあげてください。
無剣:わかった。可愛いから、しっかりと世話をしてあげる。
相即不離
未練はあるが、ウサギを山林に返すことについて白扇に相談したい。
私と白扇はウサギに出会った森に行き、草むらにウサギを返した。
無剣:ウサギちゃん、早く行って。次は怪我しないように、悪い人に捕まらないように気をつけて。
ウサギは私の話を理解したように、鼻で手のひらをこすった。
そして草むらに跳んで姿を消した。
無剣:はあ…また会えるのかな…
妙手:出会いと別れは世の常、気にすることはないですよ。
無剣:どうしたら離れ離れにならないようにできるのかな?
妙手:無剣、相即不離という言葉を聞いたことがありますか?
無剣:相即不離......って何?
妙手:相即不離というのは、魚同士が互いに泳いだり、木の枝が繋がっていったり.....この世の全ての同類のものは互いに長い間助けあっていくものだ。
ウサギ同士、また人間同士も皆同じ。
妙手:長くいるためには、朝夕を共にしている人を大切にしなければならないのです
。
無剣:朝夕を共にしている人?
無剣:じゃあ…私と貴方はそれに入るの?
妙手:ん?どうですかね?
無剣:また、前武術も教えてくれない。
いつか妙手もウサギのように逃げて姿を消すかれもしれない。
妙手:そんなことしないですよ。
無剣:じゃあどうして私の師匠になってくれないの?武術を教えてくれないの?
妙手:それはーー僕は貴方の師匠になるだけでは嫌だから。
無剣:ん?どういう意味?
妙手:目を閉じたら教えます。
不思議に思ったが、言われた通りに目を閉じた。
彼の体が近づいてくるのを感じると、耳元から彼の低い笑い声が聞こえた。
妙手:無剣、貴方の師匠になったら、今のように貴方にこういうことをすることはもうないでしょうねーー
その瞬間、私の頬が熱を出したように熱くなった。
同盟会話
○○の妙手:虎ちゃんはまっすぐな子ですが、おばかさんほど可愛いとも言える感じですね。
○○の妙手:あの子にとって私の武芸を継ぐのは難しすぎました。
○○の妙手:蛾眉の方は賢くて教える価値がありましたが、まあ、惜しかったですね。
○○の妙手:武をやめるなら、塾の先生になるのもいい思いましたが、
○○の妙手:よく考えると、そんな平凡な生活は私に向いていませんね。
○○の妙手:それに比べて、兄弟姉妹と一緒に江湖を遊歴するほうがよっぽど楽しい。
◯◯の妙手:風景秀麗の江南をとても懐かしく感じますが、
◯◯の妙手:砂漠の来たにこんなに見たことのない雄大な景色があるとは。
◯◯の妙手:時間があれば、もっといろんな場所へ旅に出たいものですね。
判詞
二句目 知識を秘める
三句目 春雨のように穏やかで優しく
四句目 計算高くて殺意が隠れる
五句目 春と夏は軽い雲と月を見
六句目 冬と秋は落ち葉の音を聞きながら読書
七句目 計略を巡らしつつ本性は純粋
八句目 風采が良くて比類なき美男子
コメント(1)
コメント
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・虎ちゃんはまっすぐな子ですが、おばかさんほど可愛いとも言える感じですね。
あの子にとって私の武芸を継ぐのは難しすぎました。
蛾眉の方は賢くて教える価値がありましたが、まあ、惜しかったですね。
・武をやめるなら、塾の先生になるのもいい思いましたが、
よく考えると、そんな平凡な生活は私に向いていませんね。
それに比べて、兄弟姉妹と一緒に江湖を遊歴するほうがよっぽど楽しい。
※「いい思いましたが、」と、訛ってる(原文)。0
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