聖火 仲合、同盟会話
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仲合物語
光明の故郷
雪が止み、晴れた日に私は一人で光明頂付近を散歩している。
崑崙山の頂上から眺めた風景がどんなものかを見てみたい。
このとき、崖下の隙間に青い蕾をした白い花を見つけた。
幾層になった雪のような白い花びらが日に浴びて神聖で滑らかな光を発している。
無剣:きれい……
思わず崖まで歩いて、身を乗り出してその花を採ろうとした。
???:無剣、危ないよ。
まだその言葉に反応してないうちに、体が誰かに胸に抱き寄せられた。
手を前に伸ばして、その花を採ってくれた。
彼の体は暖かく、私の体の寒さをすぐに払ってくれた。
気づいたら、彼は私を放し、その花を私の前に持ってくれた。
無剣:聖火…ありがとう。
聖火:こんなことでお礼されるいわれはないよ。
聖火は私に向かって瞬きして、口元に笑みを浮かべている。
聖火:こんな険しいところにこんなきれいな花が咲いている。とても珍しい。
無剣:花が咲いている?
聖火:貴方たち中原の人はどう呼ぶんだっけ…
確か…雪蓮花だよな?
無剣:雪蓮花?聞いたことあるような……確か高い山の上で育つ花だ。
無剣:これのことなのか。やはりきれいだな。
聖火:俺も崑崙山に来てから初めてこんな花を見た。
無剣:崑崙山に来てから…?ここにずっと住んでいるんじゃないのか?
聖火:ちょっと違うね。
聖火は私のそばへ来て、微笑みながら私を見つめている。
聖火:わが故郷ペルシャを知っているか?はるか遠くの異国なのだが、
どうだい、いつかオレと一緒に行ってみないかい?
話の最後で、彼の息がが私の頭に触れそうになった。
彼の声に惑わされたか、彼の体温に触れたからか、私の頬は少し熱くなっている。
無剣:今貴方が言った場所はここから遠いの?
聖火:うん、全然近くない。
聖火:二人で旅するなら、途中で互いに笑い合い、道中の異国情緒を楽しむのは、非常に素晴らしいことじゃないかな?
無剣:貴方の話を聴いたら、その故郷に興味津々だな、けれどそんな遠いところまで行くのは…
聖火:道程が遠く、何があるのか分からないから、迷っているんだろう?
聖火:実は未知こそもっとも魅力がある。
聖火の笑顔はまるで火がつられたように、目にかすかに高ぶる光が見える。
聖火:先が見えず、心の中で決めた目標に向かって進む。
飛んで火に入る夏の虫のように、本能のままに行動する。
無剣:そんな結果を考えない行為は、向こう見ずだと思わない?
どんなことでもよく考えて行動するべきだよ。
聖火:今何か言った?聞こえないよ。
聖火:どんなことでも計画的に行動するのは面白くない。
聖火:例えば白い蓮の花を見た途端、眼に貴方の顔が浮かぶ
だから何も考えずに、その花を取って貴方にあげた。
聖火:あるいは貴方の笑顔を見ると、故郷の月を思い出させてしまう。
何も考えずに、貴方を故郷のペルシアに連れて行きたいと思う。
聖火:また…
無剣:や、やめて!
聖火の言葉で私の顔がどんどん熱くなる。急いでこれ以上話すのをやめさせる。
無剣:約束する。機会があったら、一緒に貴方の故郷ペルシアに行く。
聖火:おや?
聖火は眉をつりあげて、興味津々に私を見ている。
聖火:連れて行くよ、明教聖火が最初に燃えた場所、俺の輝かしい故郷。
聖火:きっと気に入ってもらえる。
無剣:どうしてそう言い切れるの?
聖火:あれは俺の生まれた場所。俺が生まれていなければ、どうやったら今のように貴方のそばにいられて、貴方と出会えた?
聖火の言葉は、いつの間にか私の心に火をつけた。
月下の美人
私は気まぐれに、立ち上がって湖畔に向かった。
けれど思わず石に躓き転んで、全身がぬかるみにはまってしまった。
無剣:う…
私は慌てて身をお越し湖畔まで歩い、水面に映っている倒影を見ると、顔と髪が泥にまみれて、さんざんな様子だった。
無剣:…汚すぎ…
手で水を掬って顔を洗おうとしたら、突然突然湖畔の草むらからカサカサという音が聞こえてきた。
無剣:誰?!
聖火:なに? おや?これは、これは。
草むらから立ち上がった人影は、聖火だった。
聖火:どこの三毛猫が俺の休憩を邪魔すると思ったら、貴方か~
無剣:み、三毛猫?!
起ころうとして、私の顔についている泥を見ると、まさに自分が三毛猫みたいじゃない?
無剣:どうせ私を笑う気でしょう?笑えば!
私は振り返って、水を顔につけて、そそくさと泥を洗い流し始めた。
聖火は静かに私の隣に座り、手を伸ばして私の頭を軽く叩いた。
聖火:怒るな、俺の三毛猫~俺は今の貴方が好き。
無剣:あああ、貴方…
冗談なのか本音なのかが分からず、笑っている顔も見るのが恥ずかしいから、ひたむきに水を顔と髪の毛先についてる泥を洗い落とした。
聖火:はあ、残念。
突然彼は長いため息をついた。
無剣:何が残念?
聖火:俺の三毛猫がもう見れないなんて。
無剣:こ、これ以上いい加減なことを言ったら、私…
聖火:しっ…黙って空を見てごらん、
百年前と変わらず吸い込まれそうなぐらいに美しい月だろう。
聖火は突然指で私の唇を押さえて、空の白く光る月を見なよという目つきで私に言った。
こうやって湖畔で月見するつもりだったことを思い出した。
夜空の清く輝かしい月、水面に映る光、現れたり消えたりする花の香り…
私は目を瞑りたいほどこのすべてを楽しんでいるーー
もちろん、隣にいる聖火がうるさくしていなければ。
彼は悠然と私の隣に座っていて、目の前の素晴らしい景色を楽しんでいるようだ。
聖火:ん…この香りさえも百年前と同じで、懐かしい。
無剣:百年前?
聖火:意外だったかな?俺が生まれてどれぐらいの百年が過ぎたかも分からないんだ。
聖火:ただこんな風に悠然と月の下で美景を楽しむことは、中々ない。
無剣:貴方の見た目からすると、そんな年に見えないけど。
聖火:おや?俺を褒めているのか?
聖火:一人で過ごした歳月は、恐らく貴方の想像より長いと思う。
無剣:過去の時間が懐かしいの?
聖火:歳月(さいげつ)流るる如(ごと)し、弾指の間(だんしのかん)に過ぎない。過ぎた日はもう戻ってこない……だから目の前にある人を大切にしないとね。
無剣:目の前にいる人?
聖火は突然私の耳元に近づいた。息が蘭のような香りがして、言葉の一句一句が耳に吹き込まれていく。
聖火:この時、この瞬間、輝く月、花の香り――その人は目の前に。
振り返ったら、彼の手に持ったいつ採ったか分からない純白の花が、
月光照らされ、静かに咲いている。
無剣:これは…?
聖火:ーー月下の美人
無剣:この花の名前?
聖火:そう、この花は月下の美人といい、白く光る月の下で一夜しか咲かなく、翌日太陽が昇るころに枯れ落ちる。
聖火:少女の微笑みはこの真夏に咲く花のように可愛らしい。
聖火の目も月光に満ちたようで、声に人心を惑わす力が感じられる。
聖火:またこんな美しい月の日に、貴方に月見の誘いをしてもいいか?
無剣:…いいよ。
燃立つ聖火
涼しい風に吹かれ、私は少し冷えて服をもっときつく整えようとすると、突然誰かの手に肩を包まれた。
聖火:冷たくないだろう?
聖火の声が耳元に響き、その温かい体温が一瞬で周りの寒さを払ってくれた。
無剣:どうしてここに?
聖火:今夜月がこんなにきれいで、貴方に月見の誘いをしたいと思ってね~
聖火:途中で出会うなんて、縁があることじゃない?
無剣:元々同じところで休憩しているから、毎日会ってるしここでまた会うのは当たり前じゃないの・
聖火:毎日貴方に会っても足りない。
無剣:またそういうことを…
無剣:時々、本当に貴方が冗談で言ってるのか、本音で言ってるのかが分からない。いつも人の心を乱すようなことを言う。
聖火:ほう?人の心を乱す?――そては貴方の心?
無剣:他に誰がいるの?
聖火:もちろんいない。
聖火は突然狡猾な笑みを浮かべた。
聖火:他に誰がいるとしても、とっくに俺に追い払われたさ。
無剣:それは…よくないことなんじゃ?
聖火:今何か言った?聞こえないよ。
聖火:まさか誰かに私たちの邪魔をされたいと思ってるのか?
無剣:あ、貴方は…いつもそういう誤解を招くようなことを言わないで。
無剣:私はただ湖畔で月見をしたいだけだ。
聖火:うん、湖畔で俺と一緒に月見したいと、付け加える必要があるけどね。
無剣:貴方は面の皮が厚いね!
聖火:そうですか?
聖火は突然手を伸ばし、私の頬を軽くつねった。
聖火:無剣、貴方も面の皮が厚いな。
聖火:けどーー触感はいい。
無剣:貴方…!本当になんでそういう性格なんだ。
聖火:なあ、「飛んで火にいる夏の虫」って知ってるか?
無剣:知ってるけど…なんで急にそれを?
聖火:なんでそういう性格って聞いただろう?
俺たち明教の人間はすべてこうなんだ。炎に灼かれることを知っていながら、危険を顧みずその灼熱を追い求める。
聖火:心の内に燃える炎を追い求めて苦しむ人たちは、いつも他人の目を引きつけることができる。
聖火:心の中のかすかな光を諦めずに追い求め続ける、その危険を顧みない姿は、非常に美しいものだ。
聖火:だから俺は飛んで火にいる夏の虫のように、貴方に引きつけられた。
貴方がどこにいても、私は貴方のそばに引きつけられていく。
無剣:私の…心の中のかすかな光?
聖火:貴方は気づいていないかもしれないけど、俺はとっくに貴方に引きつけられていた。
聖火:いつしか、そのかすかな光は荒野を焼き尽くす炎になるだろう。
その時、貴方は今よりもっと輝く、美しくなる。
聖火:無剣、その時俺はまだ貴方のそばにいることを願う。
日月同輝
前からずっと追い求めて推測してきた謎は、ここで答えを得た。
胸を撫で下ろしたと同時に、かすかに自分は前と変わったことに気づいた。
なぜか、私の頭に聖火の姿が浮かんだ。
聖火:心の中のかすかな光を諦めずに追い求め続ける、その危険を顧みない姿は、非常に美しいものだ。
聖火:だから俺は飛んで火にいる夏の虫のように、貴方に引きつけられた。
貴方がどこにいても、私は貴方のそばに引きつけられていく。
無剣:私の…心の中のかすかな光?
聖火:貴方は気づいていないかもしれないけど、俺はとっくに貴方に引きつけられていた。
聖火:いつしか、そのかすかな光は荒野を焼き尽くす炎になるだろう。
その時、貴方は今よりもっと輝く、美しくなる。
聖火:無剣、その時俺はまだ貴方のそばにいることを願う。
彼の言葉を思い出したーー
あの時に、彼はすでに今の私を予知したのか?
聖火に会いたいけど、しばらく彼に会っていないことに気づいた。
ーーどこに行った?
野原で彼の姿を所々探したが、どこにもいなかった。まさか…もう行ったのか?
突然誰かの手に肩を掴まれた。
???:一人ぼっちの三毛猫ちゃんはここで何をしているのかな?
無剣:聖火!
振り返ると、自分の会いたい人がやはり目の前にいる。
無剣:貴方が…
聖火:俺が?
無剣:貴方が…もう行ったのかと。
聖火:ほう?俺が行ったら、どうする?追いかけてくるのか?
無剣:どこに行く?
聖火:故郷のペルシャ…故郷の月を見に行く。
無剣:そうか…
心が突然言葉にできないほどつらいーー
彼が私から離れるか?
聖火:無剣、一緒に行く?
無剣:ん?ーー何?
聖火:なあ、僕と一緒に故郷の月を見に行かないか?
一緒に行きたいか?
答えは「はい」だ。
私は顔を見上げて、微笑みながら頷いた。
無剣:故郷への道を覚えているか?
聖火:覚えていなくても大丈夫~
聖火は私の手を握り、ゆっくりその胸に置いた。私はその心臓の鼓動を直に感じていた。
聖火:それはーー自分の心にある明月を見つけたから。
聖火:前は微かな光しかなかったが、今は輝かしい光に変わって、故郷への道を照らしてくれた。
聖火:――無剣、行こう。
同盟会話
○○の聖火:最近、敵がいきなり光明頂に攻めてきたのだが……
○○の聖火:はは、俺がいる限り心配は無用だ。
○○の聖火:敵はおそらく剣塚を孤立させることを企んでいる。気をつけたほうがいい。
○○の聖火:光明頂を守ることは俺の責任であり、彼らに与えられた役目でもある。
○○の聖火:正直、ずっと自由自在な暮らしをあこがれていたから。
○○の聖火:木剣の乱が収まったら、光明頂は白虹に任せるつもりだ。
○○の聖火:遥かなるペルシャにも素晴らしい詞があるんだ。
○○の聖火:故郷にいた時は友人が朗唱するのを聞くことがあったが、今となってはとても懐かしく思うな。
○○の聖火:はあ、彼はいつ中原に戻ってくるのかな。
判詞
二句目 緑いっぱいの崖から晴れた谷を眺める
三句目 月が冷たい川に入組み、花も咲き乱れ
四句目 風に揺れる柳の木に葉が落ち
五句目 そこに美しい姿が現れ
六句目 風流そのもの流れるままに
七句目 千年も続く前世は忘れよう
八句目 夢に残して現世で転々とする
コメント(1)
コメント
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・光明頂を守ることは俺の責任であり、彼らに与えられた役目でもある。
正直、ずっと自由自在な暮らしをあこがれていたから。
木剣の乱が収まったら、光明頂は白虹に任せるつもりだ。0
削除すると元に戻すことは出来ません。
よろしいですか?
今後表示しない