六爻 仲合、同盟会話
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仲合物語
好敵手
彼は目の前の更地を眺めたあと、顔を下に向けて低い声で吟じ始めた。
無剣:六爻……かな?
私がこっそり近づくと、六爻の前の更地に十九本の線が縦横に刻まれ、天然の碁盤が形成された。
六爻は自分の世界に入り込んでいるのか、ときに首を振り、ときに眉をしかめた。
六爻:後先の順序をわきまえ、盤上の要地を取るべし。
彼は黒石を手に取り、碁盤に置いた。
六爻:追い詰める際には緩く、勢いに乗じる際には猛攻すべし。
今度は白石を手に取り、黒石の横に打った。
無剣:(六爻は黒石と白石で碁を打ち、自分自身と対局している。)
六爻:罠を仕掛ける際には固く守れるところにやるべし。
私は六爻の背後に回り、黒石と白石を碁盤に置く様子を眺めた。
無剣:この一手は……
彼は手に持っている石を見つめ、目の前の碁盤を眺めながら、再び考え込んだ。
私は碁盤の石を細かく観察した。黒石と白石はとても複雑だが、綺麗に置かれていた。
六爻は目の前の碁盤をじっと見つめ、まるで静の境地に入ったようにぴくりともせず、ためらいがちに独り言を呟いている。
ざわざわと音をたて落ちる葉も鳥の鳴き声も、彼の注意をそらすことはできない。彼は集中し、厳しい目で目の前の碁盤を見ている。
小一時間が経ったあと、彼は突然閃いたように、勢いよく石を打った。
六爻:一子落ちて全盤を生かす!
六爻:フフ……無剣、今の一手はどうだ?
無剣:えっ?
六爻:観戦時に言葉を発さないのが真の君子。
俺の後ろで小一時間も何も話さず、よく耐えた。
無剣: (うう……実はよく分からなかった……)
六爻:対局に興味あるなら、一局打ってみるか。
何手か譲ってやってもいいぞ。
六爻は生き生きとした表情で私を見た。視線からは期待を感じる。
無剣:あなたの相手になるかはわからないけど……
六爻:ほぉ?
彼は少し微笑んで、手の中の石を回した。
六爻:碁盤は千変万化だ。
一度やってみなければ分からないだろう?
無剣:(相手が六爻なら、私の勝算はほぼないけどね……)
六爻:ならば今度、対局してみてはくれないか。
六爻の誠実な口調に私は断れないまま、ぎこちなく頷いた。
無剣:宜しくお願いします!
碁の指南
無剣:(六爻と約束した以上、対局でぼろぼろに負けたくない……)
書斎で長いこと探したが、囲碁に関する本は見つからなかった。
六爻:はぁ……
背後から薄ら笑いが聞こえたので振り返ると、六爻が笑みを浮かべて私を見ていた。
六爻:この本のために来たのか?
彼は手に持っている本をひらひらと振ってみせた。その本は私が探している『碁経』だった。
無剣:あ、気づいてたんだ……
六爻:俺と打つために、付け焼刃でどうにかしようと思ったのか?
私は仕方なく頷いた。
六爻は見抜いていたかのように、私の方へと少し近づいた。
六爻:この本は難しく分かりづらい。誰かが説明しないと一人では理解できず、応用もできない。
六爻:付け焼刃……ふ、俺が簡単に説明してあげるとしよう。
無剣:本当?ありがとう!
六爻は持っている本を振ってみせたあと、真剣に説明してくれた。
六爻:碁経、全十三章。対局の戦略戦術、品格規格。
碁を打つのは兵法と似ている。
六爻:碁盤の章第一……
彼はまるで塾の先生のような厳しい顔で、碁経の全章を細かく説明してくれた。
六爻:洞微篇第十……「侵して利者あり、侵して害者ある」
進めば利を得る者がいれば、害を受ける者もいる。
無剣:どういう意味……?
分かったような分からないような……六爻は考え事をしているかのように、眉を顰めている。
六爻:この章は数十年以上碁を打ったとしても、完全に理解することはできない。
六爻:損益の分水嶺、利害の境界線。俺は聖人でもなく、見分けられるはずもない。ただ残念なのは……
無剣:残念なのは?
六爻は長いため息をついて、軽く首を横に振った。
六爻:無剣、今日はここまでだ。
この碁経は君にやろう、あとで読むといい。
彼は手に持っている本を私に渡して、落ち込んだ様子で書斎を出た。
碁経にめくられた跡がある。
その少し黄ばんだ紙をめくると、私はますます不思議に思った……
無剣:(六爻、あなたは一体何が悔しいの?)
白黒を手に
六爻はすでに碁盤を配置し、静かに私を待っている。
六爻:無剣、来たか。
無剣:今ここで打つの?
六爻:打ちたいときに打つのが一番いい。さあ、座るのだ。
彼は少し手を上げて、私に向かって微笑んだ。
私たちは碁盤の両側に座った。
無剣:先手と後手はどう決めるの?
六爻は何個かの白石を手で掴み、私を見た。
六爻:君は黒石を一つもしくは二つ出してくれないか。
君が出した黒石が一つで、私が掴んだ石の数が奇数だったのなら君が先手、偶数だったのなら私が先手だ。
黒石を二つ出し、私が掴んだ数が偶数だったのなら君が先手、奇数だったのなら私が先手だ。
目の前の碁笥に入っている黒石を見て、私は少し迷った。
六爻:これで、先手と後手が決まったな。対局開始だ。
黒と白の石が交互に碁盤の上に置かれていく。
一時間ほど経ったとき、六爻の打ち方に少しだけ違和感を感じた。
いつもは慎重な六爻が、今日は賭けに出ている気がする……
二時間が経って、六爻の額に汗が滲んできた。もうしばらく打つと、形勢が逆転し、私が優位に立っていた。
無剣:どういうこと?
彼は下を向き黙り込んだまま打ち続けた。数回の打ち合いのあと、彼の布陣は厚く囲まれてしまった……
無剣:六爻、なぜ手を抜いたの?
六爻の指は空中に留まり、しばらくすると、石をどっしりと盤面に置いた。
六爻:俺は……俺は、再現しているんだ……
無剣:再現?
六爻:あの日を、あの戦いを……再現している。
六爻の顔色はますます暗くなり、声も震えている。
六爻:進めば利を得る者がいれば、害を受ける者もいる……
君と永遠に
無剣:進めば利を得る者がいれば、害を受ける者もいる……さっきあなたが言ったのは、碁経・洞微篇第十に載っていた言葉?
六爻:その通り。碁を打つことは、兵法と同じ。
六爻:俺が水軍都督に忠誠を誓ったとき、策士としてこのような難問に遭ったことがある。
六爻:あのとき、俺は命令を受けて敵の城を攻撃した。
だが敵軍は強く、実力もあった。直接攻め入ることができず、策略で攻めるしかなかった。
六爻:戦いは数ヶ月間続き、我が軍の兵力の大半が消耗していた。
城を早く落とすため、俺は暴雨の夜に水門を壊し、敵軍を水没させた。
六爻:しかし……しかし……
彼はむせび泣きながら、顔を少し下に向けた。
六爻:暴雨は三日間続いた。城は落とせたが、大きな波が周りの村を巻き込み、罪のない数多くの人々が犠牲となった。
六爻:その城を落とすことで我が軍が有利になると思ったが、その惨劇は私の心のしこりとなり、寝食もままならない。
六爻:あれから、私は世間のことに無関心となり、ひたすら碁に打ち込んできた。
六爻は過去のことを全部話してくれた。その言葉から強い後悔が感じられ、同情したくなった。
六爻:剣魔以来、このことを余所者に話したことはない。
無剣:なぜ私には話してくれたの?
彼は顔を上げて私を見ると、いつも通りの落ち着いた表情に戻っていた。
六爻:無剣、君は…余所者じゃない。
六爻:俺は君についていくことを決めた以上、当然誠実でなければならない。
六爻:一番つらい過去を君に話したのは、信頼……でもある。
彼は黒石と白石をそれぞれ一個を、私の手のひらに置いた。
六爻:過去の俺、今の俺、狡猾な俺、善良な俺。すべて君の手のひらの上にいる。
六爻:これから、俺はずっと君と供にいる。離れることはない。
私は白黒の石を握りしめ、一抹の安心感を覚えた。
無剣:今、碁経第十篇の意味が分かったような気がする。
無剣:六爻、もう一局打たない?
今度はわざと負けたりしないでね。
六爻は微笑みながら頷いた。
同盟会話
○○の六爻:これは『剣塚地形図』。どう守りを固めたらいいか考えていたところだ。
○○の六爻:剣境を守るため、主が木剣の拠点を奪ってくる必要がある。
○○の六爻:そして我らの使命は、主に変わり剣塚を死守すること。
○○の六爻:あなたが主の同盟になった以上、礼は尽くそう。
○○の六爻:しかし、もし裏切ることがあれば、真の謀略をお見せすることになるでしょう。
○○の六爻:分かりましたね?
○○の六爻:木剣の行方がまだ分からない今、むやみに出撃することは危険かと。
○○の六爻:各地との連携を強化し、敵の周辺拠点を撃破していくべきだ。
○○の六爻:心配すべきことを解決してから、木剣に勝負を挑もう。
判詞
第二句 誇り高く臣服しない
第三句 川で敵の度胸を葬り去り
第四句 津波で民を水没させる
第五句 囲碁が昼夜のように黒白分ける
第六句 人も天地のように明暗分ける
第七句 城が英雄の血で染められ
第八句 霜のように冷たい戦さ場で将軍に心あり
コメント(1)
コメント
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・あなたが主の同盟になった以上、礼は尽くそう。
しかし、もし裏切ることがあれば、真の謀略をお見せすることになるでしょう。
分かりましたね?
・木剣の行方がまだ分からない今、むやみに出撃することは危険かと。
各地との連携を強化し、敵の周辺拠点を撃破していくべきだ。
心配すべきことを解決してから、木剣に勝負を挑もう。0
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