帰一 仲合、同盟会話
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仲合物語
秘密を辿る
私は音を立てずに近寄ったが、彼は目を深く閉じていて、眉を潜め悪夢を見ているようだった。
帰一:誰…一体誰が…私を傷つける…
帰一の口から、ぼんやりと寝言が聞こえてきた。
無剣:帰一?
私は身を屈めて、彼を呼び覚まそうか迷った。
帰一:危ない!早く…行け…
帰一は突然声を出し、私はびっくりして思わず後ろに下がろうとすると、
彼が私の腕を掴んだ。
そんなに力強く掴んでいるのを見ると、まるで瀕死の人が命綱の最後の部分を掴んでいるようだ。
帰一:…っうう…無剣?
彼は緩く目を開いて、自分が私の腕を掴んでいることに気づくと、
何か触ってはいけないものでも触ったかのように急いで手を放した。
帰一:わ…私はどうしたんだ…
無剣:悪夢でも見ていたんじゃないの?
彼の顔色はもっと青白くなって、冷や汗がびっしょり。
思わず手を伸ばして汗を拭こうと思ったが、額に触れた瞬間、
彼はすぐ避けて、その顔色はもっとおかしくなった。
帰一:無剣、ごめん…
私は何も言えずに彼はそのまま慌てて去っていった。
無剣:ちょっ!待って!
追いかけようと思った時、向うの人影が私に向かってきた。
秋水:放っておけ。今は帰一後輩と話すときじゃない。
無剣:どういう意味?
秋水:さっきの帰一の行為は少し異常ではないか?
無剣:はい…さっき私の腕を掴んだ…あと顔色が悪くなって、ごめんと言っただけですぐ行ってしまったけど。
無剣:彼にどんなことが起こったのか分からないから、とても心配している。なぜこうなったか分かるの?
秋水はしばらく黙って、低い声で私に応えた。
秋水:帰一は毎回天火奇石を利用して占った後、心の中は混乱した幻に満ちていて、よく消化しなければならない。昔、彼は一度占った後に弟子を刺したことがある。ただ、そのような状況はもう何年も起こってない。
なるほど、帰一はどんな幻を見たんだろう?まさか彼を暴走させてしまった?
運命の鎖
私は思わず足を止めて耳を澄また。
帰一:秋水先輩…
秋水:あの日あんなにうろたえて、何が見えた?無剣と関係あるのか?
帰一:先輩は…全部知ってるのか?
慌てて去っていった様子を見ると、こういうことじゃないかと思った。ひょっとして当たったのか?
秋水:あの日火奇石がここに落ちたのも、運命が選んだ結果だ。そんなに気にする必要はないと思うが?
帰一:無剣…と他の人のは違う。
帰一の低く静かな声が私の耳に入って、何だかちょっと不安を感じる。
突然うっかり、足元の枯れ枝を踏み潰した。
秋水:誰だ?!
私は驚いたけど、もう逃げられない。
無剣:ねぇ……
帰一:わ、私はただ散歩しているんだ…今すぐ帰るから!
帰一:待て!
帰一が足早に私の前に来て、何かを言おうとした。
秋水:君たちには何か話があるようだ、私は先に失礼する、ゆっくり話して。
秋水は微笑んで去っていった。残ったのはお互いを見つめ合った私と帰一。
帰一:さっき全部聴いていた?
無剣:うん、全部聴いた。隠すつもりはないけど、さっき貴方の声が聞こえたから、つい…
無剣:貴方のことを知りたい…あと、何を見たの?
帰一:秋水先輩が、全部教えただろう?
無剣:けど貴方は嬉しくない様子ね、とても辛そうに見える。
帰一:これは嬉しいことではないから。
帰一はゆっくり目を閉じて、口からひっそりしたため息が出た。
帰一:運命を知ったらどうなる?
帰一:運命は私を選んだが、私にも限りない枷をかけた。
無剣:まだ…どういう意味か分からない。
だが、帰一は説明しないまま、私の目をじっと見ている。目には私が見ても分からない気持ちが込められている。
帰一:その手の甲を…見せてくれるか?
無剣:えっ?!何…
帰一:そ、その…別に深い意味はない。ただ確認したいことがある…
無剣:こう?
無剣:私を手を伸ばして、その広い手のひらに載せた。
彼の手のひらが軽く震えて、親指で私の中指を押したまま、細かく見始めた。
しばらく経つと、帰一が手を放したが、少し困惑している。
帰一:なぜ…ない?
無剣:え?今なんて?
帰一:なんでもないよ。
聞こうと思ったが、帰一はまた気抜けして去っていってしまった。
口に出れば
だが、先に誰かがいるとは思いもしなかった。
帰一:…無剣?
無剣:偶然だね、貴方も眠れないの?
帰一:幾つもの夜、私はずっと同じ夢を見てきた…だから眠れない。
無剣:眠るとまたその悪夢を見るのが怖いから?
帰一:ただの悪夢だけならまだいいが、ただの夢じゃないとわかっているから。
無剣:もしかしたらそれは貴方が見えた未来、じゃない?
帰一の顔に苦しい表情が見えた。
帰一:見たくないものを見てしまったら、どうする?
無剣:そういうものを見たら、変えてみたいって思う。
不吉な事を吉事に変えるのは、いいことじゃない?
帰一:貴方は知らない。
帰一:私が見えたすべては、最終的に発生してしまう。
無剣:そんなこと有り得る?
帰一:私も分からない、あの未来の断片。どんなに避けようとも、いつしかやって来てしまう。発生を阻止するほど、大きい災難を招く。
帰一:運命を見てしまったら、責任を負うことになる。
帰一:大きい災難に発展しないためにも、悲劇が起きるのをただ見るしかない。それゆえ、自分が多くの罪を背負っていると思うから。
無剣:それでも、貴方は私をこの重陽宮に連れてきてくれたじゃない?
帰一:はい…それは、貴方が特別だから…
帰一:このことは、誰にも話したことはないが、心の底から全部貴方に話したいと思っている。
無剣:それは、貴方が私の運命を見たから?それとも、私の身分?
帰一:いえ、貴方の身分と関係ない。貴方の運命と、関係あると言えるが、関係ないとも言える…
無剣:私の手を見たのも、これと関係あるの?
帰一は軽く頷いた。
帰一:私の予知に、一人の人と手が見えた
帰一:その人は貴方、貴方には五剣の境を救う重責がある。その手は私を救う、無限の苦しみと孤独の中から私を救ってくれる。夢の中じゃなくても、その手から伝わってきた心温まる温度を感じる…
無剣:それは私の手?
帰一:非常に似ていると思うが、どこか少し違う。
彼を私をじっと見つめて、深くため息をついた。
帰一:この世で唯一運命を変える力を持っている人は、貴方しかいない。
無剣:そう言われたら、突然自分の責任が重いと感じるね!
帰一:この重い責任は、共に分かち合いたい。
無剣:じゃ、共にこの重い責任に立ち向かおう!
一心同体
水面の波が光を反射して、まるで壊したくない安らかな夢のようだ。
無剣:ごめん、その宝物を壊してしまって…
帰一:どうしてそう思う?
無剣:そう思うほうが普通じゃない?
帰一:いえ、貴方に感謝すべきだ。貴方がなかったら、全真の一脈はもう存在しないだろう…
帰一:まして、運命の重責から抜け出せたことも、とても感謝している。何か私にできることがあれば、たとえ火の海に行くことでも構わない。
無剣:そう言ってもらえると嬉しい。
無剣:貴方の役に立てて、私も嬉しい。そんな力を持っていると、困ることや辛いこともあるだろうし。
周りの人も理解してくれないだろうし、貴方もみんなにいわざわざ説明したりしなかった。
無剣:今、貴方はやっと自分らしくなった。自分の考えや気持ちを他の人に話すようになった。
帰一:確かに、今、私はやっとその形のない重荷を下ろし、自分の欲しいものを追求することができる。
無剣:貴方の本当に欲しいものは…一体何?
帰一剣は軽く首を横に振った、顔に掛かったもやがなかなか消えない。
帰一:私の願いは、永遠に叶うことはないかもしれない…
帰一:この願いを叶えるためなら、どんな代償と犠牲を払っても、私はそれを一人で受け入れる。
無剣:こうやってすべてを自分で受け入れたい。
まだ誰にも聞いたことがない、全部黙って一人で背負う。
無剣:例え貴方が何も言わなくても、私は貴方のために背負いたいと思う。
帰一:ほ…本当にいいのか?
無剣:まだ自分が求めるものは何かも分からないし、貴方はまた…
私は彼の話を遮った。
無剣:ただ貴方を助けたいと思う、他の使命があったから変えることはない。
無剣:あなたが求めるものは何であろうと、それはきっと大事なものだと信じている。 私たちの運命は自分で決められるんだから、あなたはそれがあなたの求めるものだと信じているのなら、きっと手にすることができるはず!
帰一:その通りだ。
帰一:心でそう思っているなら、それを追求すべきだ!事の成否は人の努力にかかっている。人の力は必ず自然に打ち勝つことができる。やればできる!
帰一:私… また試してみたい…
無剣:何を?
帰一:その手を…また見せてくれるか?
前回とその前の状況のことを思い出すと、なぜか顔が少し熱くなった。
でも、私はやはり頷いた。
彼は微笑んだ。前のように手の甲を見ると思ったら、なんと直接私の手を握った…
少し熱かった頬が、一瞬で燃えるように熱くなった。
帰一:そう…この温度…
彼は近づいてきて、その冷たい顔を私の顔に当てた。
私たちは至近距離でお互いを見つめ合って、相手の息もはっきり聞こえるぐらいに。
無剣:帰一…
帰一:自分の求めるものは何かが分かった!
帰一:元々貴方の手には暖かさしかなく、天火特有の光がない……
帰一:けれど今…
無剣:それはつまり…
帰一:そう、つまり、私が求めるその手は、貴方の手~
帰一:貴方の言う通りだ、これは私の運命かもしれない。貴方について行き、貴方と共にその使命を背負う定めだ。
このまま、帰一は私の手をぎゅっと握り締めた…まるでこれが私たち二人の運命の絆で、運命のように避けることはできない。
同盟会話
○○の帰一:真教を護ることは私の生涯の務め。
○○の帰一:運命にはさからえぬとしても……
○○の帰一:この帰一、死してなお後悔の欠片なし。
○○の帰一:私の苦衷を分かち合える者はやはりいない。
○○の帰一:心安らぐ話し相手は終南山山頂の北斗星だけだろう。
○○の帰一:話せず、逆らえぬのなら、なぜ私に知らせたのか……
○○の帰一:ここに天罡が滞在したことがあるという。
○○の帰一:また会うことがあれば、彼に忠告してくれないか?
○○の帰一:修行を急いではいけないと。外では振る舞いに注意しろと……それと……
判詞
ニ句目 なぜか眉に哀愁深し
三句目 責任が取れないまま悪夢となり
四句目 心の結びが取れないから困っている
五句目 いざ本音を全部吐き出せて
六句目 晴れて影が消えるようにほっとする
七句目 あの手を繋いで自分の運命を知り
八句目 一生をかけた心からの願い
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コメント
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・全真教を護ることは私の生涯の務め。
運命にはさからえぬとしても……
この帰一、死してなお後悔の欠片なし。
・私の苦衷を分かち合える者はやはりいない。
心安らぐ話し相手は終南山山頂の北斗星だけだろう。
話せず、逆らえぬのなら、なぜ私に知らせたのか……
・ここに天?が滞在したことがあるという。
また会うことがあれば、彼に忠告してくれないか?
修行を急いではいけないと。外では振る舞いに注意しろと……それと……0
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