霊蛇 仲合、同盟会話
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仲合物語
観雨繁蕪
無剣:やっと雨宿りができる場所を見つけた。見た限りだと、廃棄された庭のようだ……
無剣:ここはけっこう広いし、不思議な雰囲気からして、面白いものを見つけられたりするかもしれない。
私が東屋の下から周りを見回すと、目が届く所には雑草や野花が覆い茂っており、池の辺りには菖蒲や芦葦が鬱蒼と生え、なかなか手の行き届いていない光景に野生の美を感じる。
無剣:えっ?こんなとことに青い子蛇が?
その艶やかな子蛇は体を巻いたまま私に向かって舌を出しては収め、黒豆のような小さな目をキラキラさせている。まさかこれほど人畜無害な生き物だとは。
私は好奇心にかられて、身を低くしてその子蛇を何度も細かく見た後、触れようとして大胆にも手を伸ばした。
霊蛇:我輩の蛇は人を噛むぞ。死にたいようなら、我輩の薬の試験体になってからにしろ。
ぞっとなって無意識に手を引き振り向くと誰かが背中に立っていた。子蛇もその人の下へのろのろ這っていく。
無剣:あ……あなたは?
霊蛇:おお?そなたであったか。我輩の蛇に触ろうとするとは、いい度胸をしているなぁと思うたが。
無剣:なんで……ここにいるの?
霊蛇:天の果てであろうが地の果てであろうが、我輩に行けない所なぞあるものか?ましてやこんなところ。ところでそなた……
霊蛇:会うのはこれで二度目、さすがの我輩でも……さてはそなた、何が企んでいるな?
無剣:いえ...何も。
私に突き刺さった眼差しはとても冷たくて、思わず首を縮めた。
無剣:通りかかっただけです……
霊蛇:ほう、通りかかっただけだぁ?我輩にそれを信じろとでも?
無剣:信じようが信じまいが、それが事実だから……
霊蛇:事実?ふん、そなたの言葉をどう信じたらいい?我輩を殺しに来たかもしれないからな。
無剣:あ……違うの、ほんとにただ通りかかっただけで……
霊蛇:この世に偶然なんてはなっからないのだよ、あるのは人の仕業と必然だけだ。でもまぁ……我輩を殺そうと思っているやつなんてこの世には大勢いて、我輩に殺されたやつも大勢いる。そなた一人増えようがどうってことはない。
霊蛇:望む死に方を申してみろ、我輩が叶えてあげようぞ、ハハハ……
無剣:そうだね、その選択肢にな「し」はある?
霊蛇:あなたはどう思いますか?
無剣:俺は……
私に向かってくる彼を見て、無意識に後ろへ下がった。彼が近付くたびに私は後ろへと、一歩、一歩と警戒しながら下がっていた。
霊蛇:ふん、そうやって我輩から距離をとることで助かったつもりか?我輩は毒使いである事を忘れないで頂こう。
無剣:ねぇ……
彼が袖口を振り上げる素振りに合わせて私は無意識に口と鼻を押さえ、目を瞑って後ろに下がった。が、何かに引っ掛かり、体がガクッと後ろに倒れてしまった。
無剣:あっ!
頭が地面と衝突するよりも先に一陣の風が吹き、霊蛇は私の襟を掴んで私を引っ張り上げた。
霊蛇:そなたはもう我輩の毒に当てられている。やはり我輩の薬試しに使わせてもらおう。
霊蛇:きっと生涯忘れられぬ思い出になるだろう。
挫骨揚灰
霊蛇:毒を造るのだよ。
無剣:へえ、見ていっても良い?
霊蛇:勿論なのだよ、もともとそなたのために我輩が用意したものだ。
無剣:……じゃあやっぱり帰る。
霊蛇:好きにしろ、そなたが見ようが見まいが、どうせそなたに使うものだからな。けっこう苦しいかもしれないが、まぁそのときのお楽しみということで。きっと面白いぞ、あっはっは!
無剣:……
霊蛇:考えを当ててやろうか、ここから逃げ出す方法を考えているだろう?
無剣:ど……どうしてそれを?
霊蛇:ふっ、我輩の武勇に肩を並べられるものはいないゆえ、我輩から逃げ出せるとでも?百歩譲ってたとえそなたに逃げ出されたとしても、我輩はそなたをとっ捕まえて、その足を折ってやる。
無剣:えっ?足を折るですって?な……な……なんてことを……
さあっと私の顔は青ざめ、後ろへ無意識に下がった。
霊蛇:そう、足を折ってやる、二度とここから逃げ出せぬように。
無剣:なんでそんなこと!
霊蛇:なぜだ?そなたが逃げ出せなくなるのであれば、なんであれいいだろう。
無剣:あ……あなたって……何て恐ろしいことを言うの……
霊蛇:はっはっは!足が折られるのがいやなら、大人しくするのだ!
霊蛇:逃げ出すと言うのなら、一度目は足、二度目はその両目、三度目は……そうだな、そなたに死にも勝る味を教えてやる。
無剣:……
霊蛇:夜は深い、もう寝ろ。
私は彼を呆然と見ていた。ああも脅かされて、どう寝ろと?
霊蛇:眠くないのか?我輩の薬試しの手伝いでもするか?ん?
無剣:ね……寝ます……今とっても眠いんです……すぐに寝ます……
背を向けて立ち去ろうとした時に、遠くから音がした。反応する前に霊蛇が大声で叫ぶ声が耳に入ったからだ。
霊蛇:飛燕!
とある人影が一目散に飛んでいき、続いて武器と武器のぶつかる音が聞こえてきたと思ったら、その人影はまた消えた。
音がした方を眺めて、霊蛇はせせら笑った。
霊蛇:倚天、屠龍、やはり来たか!
倚天:……
屠龍:おい!大丈夫か?
無剣:大丈夫じゃない……
屠龍:もう大丈夫だ!助けに来たぞ!
倚天:話し合いは埒が明かん。あいつを助けることが最優先だ。
霊蛇:来た以上やすやすと帰れると思うな!
無剣:倚天!そいつの毒に気をつけろ!
三者による戦いが一触即発となるが、霊蛇の毒を警戒し、倚天と屠龍はあまり彼に近づけない。
無剣:勝目がなかったら私に構わず逃げて!
屠龍&倚天:……
倚天:追う!
霊蛇:逃げるのか?そうはさせん!吾輩はーー
倚天と屠龍はだんだん遠くの方へ立ち去っていた。霊蛇は凶悪な目つきで私を睨みつけ、眼差しを少しずつふせて、私が彼の腕をしっかり掴んでいる手に止まった。
霊蛇:そなたはどれだけの愚か者か分かっているのか?
霊蛇:吾輩の手にどれほどの毒が染みついているのか、何人殺したのか。そなたが本当に殺されない……とでも思ったのか?
彼はゆっくりと私に近づいて体を傾け、影で私を覆った。
霊蛇:吾輩がそなたを殺すことが我慢できるうちに寝なさい。さもないと……
彼はせせら笑った。
霊蛇:本当にそなたの足を折ってやる。二度と立てなくなり、永遠にここから逃げられない。
その話を聞き、思わず身震いして、向きを変えて逃げた。彼の顔を振り返って見ることもできなかった。
部屋に戻ってすぐ横になった。よく寝れず、それも悪夢しか見えない。暗闇の中、誰かが近寄ってきた。その人の正体は分からなかった。
その人は冷たい手で私の額を触って、そして少し甘い味のするものを食べさせた。それはなんなのか分からなかった。
無剣:ど、毒?
霊蛇:違う。
微睡みのうちにそれを聞くや、深い眠りに落ちて、悪い夢見もなくなった。
居場所がない
無剣:はい……よく寝れました……ど……どうしましたか?
霊蛇:何でも。今日は薬取りに行く、吾輩と一緒に来い。
無剣:あ……は……はい……
霊蛇:着いた。
彼は一つの丘の前に止まった。ここは赤紫色の植物が生えていて、葉には蛇のようなくねくねと曲がった浅い紋様がある。
無剣:こ……これはなんですか?
霊蛇:これは蛇葉草だ。ふん、見たことないだろう?
無剣:はい…
霊蛇:これを植えたのは吾輩だ。知っているか?蛇葉草は元は緑色だったが、大量の血をかけ、その血が土に染み込んで今の蛇葉草となった。
無剣:血を……かける?
霊蛇:その通り。はっはっは!びっくりしたか?吾輩が使用したのは毒を含んだ血だ。この蛇葉草は毒を作るのに最高の薬だ。興味深いだろ?
無剣:そ……そんな大量の血はどこから取ってきたの?
ある可能性が脳裏をよぎり、信じられないまま彼を見つめた。
霊蛇:君の想像通りだ。
無剣:そんな!彼らは生きた人間なんだよ!
霊蛇:へぇ?やつらは吾輩を殺しに来て、吾輩に殺されただけさ。まさか悪いことだとでも?ふ、やつらはクズだ、殺されて惜しまれるはずもない。吾輩の行いは至極当然のことだ。
霊蛇:死ぬ前に吾輩に使ってもらえたことが、やつらにとってこの世で生きてきた中での唯一の価値だったろうさ。
無剣:この葉は毒血で育てたって……言いましたよね……あの人たちを殺す前に……毒を飲ませた?
霊蛇:そうだが、何か不満でもあるか?言ってみろ。聞いてやってもいいが変わる気はないぞ。
無剣:……この前私に毒を飲ませて、そして今ここに連れてきたのはつまり、私を殺すつもりですか?
霊蛇:……
無剣:私の血で、この蛇葉草を育てるつもりですか?
霊蛇:……
彼は気持ちを深く湛えた目で私を見つめる。私は不安から後ろへ退って、何か安心できそうなものを探そうとした。
霊蛇:吾輩のことをそんな目で見ているのか?
無剣:な……なんですか?
霊蛇:そなたの心の内で、吾輩はいつでもどこでもそなたを殺したいと思っている者になっているのか?
無剣:ち……ちがいますか?
霊蛇:……まず薬を採ってきてそなたをバカにした方がいいかもしれんな。
無剣:ば……ばかになりたくないです……
霊蛇:死にたいのか?
無剣:死にたくないです……
霊蛇:まだ生きたいのか?
無剣:ええと……もちろんぐぅ…………生きたいです……何が言いたいのかわかりません。
霊蛇:ふん。吾輩がこんなにも優しくしているのに、ちっとも気づいておらんのか?
無剣:ねぇ……
霊蛇:中毒の話は嘘だ、そなたを騙した。信じ切っていたか?あはは……
無剣:私に嘘をついた??
霊蛇:そう、嘘をついた。だとしてもそなたに何ができる?
無剣:もし中毒になっていないのなら……
霊蛇:逃げようとするならやはりそなたの足を折ってやる。これで、そなたは永遠に吾輩の傍から逃げられない。
彼はもう一回強調した:
霊蛇:永、遠、に、な!
情深繞骨
何かが一滴一滴としたり落ちてきた。雨?それとも……?
霊蛇:血だ。
冷たい、毒蛇のような声が耳元で響く。
無剣:誰だ?
無剣:あなたは誰だ?
無剣:ここは……どこだ?
霊蛇:恐れるな、吾輩がここにいる。
無剣:君……
さっきの夢から覚めて、ぼうっと正面を見つめる。
霊蛇:大丈夫か?
手で私の額を触って、霊蛇は眉をひそめた。
霊蛇:こんなに汗をかいて、何を怖がっている?
無剣:血……血がいっぱい……
霊蛇:誰の血だ?
無剣:あ……あなたの。
霊蛇:バカな、吾輩が怪我をするはずがない。あくまで夢だ。
無剣:例え天下一だとしてもうっかり怪我をする時もあります。それにあなたはまだ天下一ではないうえに、あなたを殺したい人がたくさんいます。
霊蛇:天下一……いつか吾輩は天下一になる!
無剣:ねぇ……
霊蛇:そうだ、吾輩より強い者を全て殺せば天下一になるんだ。ははは……
無剣:狂ってる……それはあくまで肩書きに過ぎないのに……
霊蛇:そなたにとってはそうかもしれないが、吾輩にとっては違う。
無剣:あなたにとって天下一はとても重要なんですね。
霊蛇:当然だ。
無剣:私は天下一なんてどうでもいい。私が気になるのは別の何かで……そしてそれをずっと探している。
霊蛇:それはなんだ?吾輩が力になれるかもしれん。
無剣:ここから離れている間に……ずっと探していた答えを見つけた。
霊蛇:ほぉ?そなたに自由に行動できる権利を与えた吾輩を感謝すべきでは?
無剣:これは……
霊蛇:そういえば、結局その答えは良いのか悪いのか言ってみろ。
無剣:あんまり良くない……
霊蛇:良くないと思っているのか?
無剣:うん……けれど人はいろんな物を求めているから、その結果を見つけることは幸せではありませんか?
無剣:その結果があまり良くないものだとしても、一生かかっても相応の結果を見つけられない人もいます。
霊蛇:ふん。吾輩にとっては結果に良し悪しなどなく、ただ死しかない。この世には飛燕以外の友も敵もなく、死んだ者と死にかけの者しかいない。
無剣:そうですか?私は答えが分かったけれど、でも……これで終わりじゃない気がします……
霊蛇:これが始まりだと思うならば、これから邪魔するやつは吾輩が殺してやる!
霊蛇:一人も残らずな!
同盟会話
○○の霊蛇:確かに、毒蛇山荘のあたりにも魍魎が攻めていっていたが、
○○の霊蛇:吾輩が入念に育ててきた白蛇が相手ならば、麓に辿り着くのも無理だろうな。
○○の霊蛇:木剣は生ける屍を操って剣境を征服できるとでも思っているのか。いくらなんでも笑えるな。
〇〇の霊蛇:毒の扱いにおいては己を天下第二だと自負しておるが、天下一となりうる者もいない。
〇〇の霊蛇:当然、そんなことを言うはずもないが。
〇〇の霊蛇:天下一の称号以外、他のものは意味などないからだ。
○○の霊蛇:ふん、また面白いやつが来たようだな。
○○の霊蛇:手合せしたことないが、実力はだいぶ分かっている。
○○の霊蛇:しかし武功というものは、実際対決しないと分からないだろう?
判詞
二句目 周りの岩や花が悉く果て
三句目 心に含む婉曲とは裏腹に有毒を吐く
四句目 体は明らかに碧玉の妖怪だ
五句目 知識をもたらす宝珠は求めずに
六句目 空に飛びつく羽だけ欲しがり
七句目 いつかきっと雷の中で龍と化し
八句目 故郷の山雪が溶けた春を眺めよう
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