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仲合物語
林間紫衫
ちょうど今日は私と合歓が魍魎たちから居場所を隠す当番だった。空模様から、もうそろそろ見張り交代の時間だろうと、私は合歓を探して休憩に戻るつもりだった。
無剣:合歓、合歓?
周りを見回すと、木の上で寝ている合歓を見つけた。彼女が身に纏っていた紫色の帯が彼女の腰と枝を繋いでいて、吊床のように彼女を樹冠の中で眠らせていた。注意深く探さないと、見つからなかったかもしれない。
無剣:合歓、帰ろう?
合歓:帰る?
無剣:帰って休憩するよ。
合歓:よかった、確かに疲れた!
無剣:帰ったらちゃんと寝るよね?
合歓:そうそう!そのとおり!
無剣:ならちょっと寝すぎじゃないかな?
私は彼女の口元を指した。そこには透明な痕が残っていた。
合歓:ああ……これは……
自分の顔に痕跡が残ってることに気づき、合歓は慌ててそれを拭った。
合歓:その……疲れた……だけだよ!
無剣:はいはい、行こっか!
合歓:うん、分かった。
無剣:もしこのあと寝ないなら、なにか用事はある?
合歓:ないよ、どうしたの?
無剣:じゃあ、一緒に泡揚げ餅を作らない?
合歓:え?なにそれ?
無剣:一種のお菓子だよ。中にはクルミ、ゴマ、バラなどが入っていて、すごく美味しいんだ。
無剣:何で泡って言うの?なんか変だね。
無剣:作り上げた後、表面がふわふわしていて軽羅の布みたいにびっしりと泡がついているから、泡揚げ餅って呼ばれているんだよ。
合歓:そうなのね……
合歓は首をかしげた、まるで何か重要なことでも考えているようだ。
無剣:どうしたの?何か思いついた?
合歓:ううん、どんなふうに見えるのか不思議なんだよ!
無剣:それなら一緒に作ろう。ここの泡揚げ餅は名物らしいよ!
合歓:じゃあ早速始めよう!
無剣:慌てないで、まだ材料の準備が必要だから。
私たちはすぐに材料を用意して、人目につかない山奥の洞窟の中で泡揚げ餅を作りはじめた。
合歓:台所にしてはちょっとお粗末すぎるよね。
無剣:山でこんな場所が見つかっただけでも十分だよ。美味しいものが出来ればいいんじゃないかな?
合歓:そうだよね。じゃあやっちゃおう!
そうして私たち二人はばたばたと忙しなく動いた。なぜならこのお菓子の作り方はあまりにも複雑で、上手く完成させる自信がなかった。
清香常在
出来上がったばかりのお菓子からは濃厚な香りがいっぱいに漂い、花の香りと干した果実の味が混ざりあい、嗅ぐだけで食欲がそそられる。
合歓:う~ん、美味しそう!
無剣:先に食べてみる?
合歓:菓子職人が先に食べるのが普通でしょ、お先にどうぞ。
無剣:じゃあ頂きます!
一口噛んだ後、牛乳の香りが口いっぱいに広がってきた。いろんな香りと味が合わさった後の味わいはこの上ないものだった。唯一の問題は、中に入っていた牛乳があまりにも熱かったことだ。
無剣:あっ、あっつ、熱いー!
美味しいけど、酷くやけどしてしまった。私は必死に息を吹きかけ、ようやく舌を冷やすことができた。
合歓:どう?おいしい?
今、私に質問している人物こそ、牛乳を泡揚げ餅の中に入れた張本人だ。
無剣:あなたが入れたの?
合歓:そうだよ。で、味はどう?
無剣:自分で試してみれば分かるでしょう。
無剣:私は鍋から泡揚げ餅を一つ取り合歓に渡た。そして静かに彼女の反応を眺めた。
合歓:はいはい、じゃああたしも食べてみる。
合歓は泡揚げ餅を慎重に持ち上げ一口噛むと、香りは一気に広がった。まるで溶けることのないように、洞窟の中にしばらく充満した
合歓:あっつい……
十分に気をつけたものの、それでも流れ出した牛乳でやけどしたようだ。彼女は泡揚げ餅に向かってしばらく息を吹きかけ、牛乳が冷めた後にゆっくり食べた。
合歓:うまい!
口元にやけどの痕が残っていたけど、合歓も泡揚げ餅を高く評価した。
合歓:こんな美味しいお菓子、早く皆に食べさせないと!
無剣:今行くの?
合歓:もちろん!
無剣:少し冷ましたほうがいいんじゃないかな?
合歓:熱くないと面白くないよ。それに、美味しさも下がっちゃうし。
合歓の顔は期待で溢れていた。明らかにこの罠を全員に試させたいようだ。
無剣:いいよ……
私の答えを聞くと、合歓はすぐに泡揚げ餅を盛り付け、そしていくつか鍋の中に残した。
無剣:それは取り出さないの?
合歓:鍋に入れると揚げ餅の内部と外部の熱が均等になって、食べたときに最高の味が保てるのだよ。
無剣:どうして……
合歓:揚げ餅が熱いうちに皆に食べさせたいわけじゃないよ、鍋の中の揚げ餅が冷めたら、夜になっちゃうよ!
無剣:まさか美食に対してこれほど理解があるとは。
合歓:昔、料理上手な人と長く同行していたからその人にちょっと学んだだけだよ。
無剣:それなら、あなたを料理長にしたのに。
合歓:そこはやっぱり一緒に作ろうよ! こんな美味しい泡揚げ餅を作れるのはあたしたちだけでしょう?
無剣:その通りだね。早く泡揚げ餅を届けて皆を驚かせよ!
合歓:うん、行こう!
泡揚げ餅を食べた人たちには揃って二つの反応があった。一つはやけどしたあとに顔色を変える反応、そしてもう一つは揚げ餅の味を 大絶賛する反応……
寒譚寐魚
無剣:合歓!
合歓は何かを発見したかのように、私に声を抑えて隠れるよう合図した。そして自分はなにやら木の上で法術をかけたようだ。
合歓:千里雲煙、万丈彩霞。此の間を護り、邪念を遠ざけよ……
突然、森全体に変化が起き、まるで霧で覆われたかのように周りの状況が完全に見えなくなった。
合歓:近くに魍魎がいる、私の法術が見つけたの。今は幻術をかけている、魍魎があたしたちを見つけることはないよ。
無剣:え?魍魎?
合歓:動かないで、声も出さないで、やつらもすぐに離れるから!
少し経つと、一匹の魍魎が私たちの傍を通りすぎた。
魍魎:オオオ!
霧がどんどん晴れてきて、魍魎も完全に離れていった。
無剣:あなたの法術のおかげだよ、魍魎に見つかったら、厄介なことになってた。
合歓:当然だよ、私の法術は完璧だからね。
無剣:よかった、帰って休憩にしよう。
合歓:今日は魚を捕りに行かない?
無剣:魚?
合歓:うん、嬉しい時は魚を食べたいの、なんでだろうね。
無剣:昔の習慣かも?
合歓:そうかも。まあそれはおいといて、捕りに行こうよ!
無剣:さっきまで寝ていたでしょう?どうやって魍魎を発見したの?
合歓:これは合歓宗の秘術だよ、五里以内に幻陣を仕掛けることができるんだ。敵を察知し方向を失わせ、無意識のうちに幻陣から追い出すこともできるよ。
無剣:なるほど、木の上にいたのは幻陣を仕掛けるためだったんだ?
合歓:この陣はあまり手間がかからないし、霊力の消耗もほんの少しというか……ただちょっと眠かっただけだよ。
水辺には、たくさんの魚が見えた。
無剣:魚がいっぱいいるね!
合歓:どうやら今日は食べ放題みたいだね。
水中の魚はのんびりと泳いでいて、彼らを虎視眈々と狙う私たちを相手にもしていない。
合歓:こいつらまともに動いてないから、肉質はきっと脂がよくのってるよ、姿蒸しにしたら絶対美味しいはず。
無剣:えいっ。
鈍そうに見えた魚だが、つるつると滑り抜けて全く手に収まらない。深い水の中であっちこっちと泳ぎ回り、私たちの力を尽くしても数匹も捕らえられなかった。
合歓:こんのアホ魚め!
合歓はこの一筋縄ではいかない魚たちに憤るや、法術を放ち、魚たちと湖の水を一斉に持ち上げた。
無剣:危ない!
私が止める前に、水は空中からドカンと落ち。地面に跳ね返った水は私たちの服を濡らし、水揚げされた魚たちはぴちぴちと跳ねていた。
合歓:どうだ、参ったか!
合歓の自慢げな表情を見て、私は笑った。彼女は自分たちがびしょ濡れになっていることに気づくと、一緒になって笑いあった……
再会之約
無剣:合歓?
合歓は山頂で座っていて、まるで私の話が聞こえていなかったように、じっとしたまま遠くを眺めていた。
無剣:合歓?ほら、これを見て。
合歓:これは、お菓子?
無剣:自分で作ったの、食べてみて。
合歓:うん、いいよ。
彼女はお菓子を手に取ると、本物の美食家のようにまじまじと見たり匂いを嗅いだりした後、最後に一口食べた。
合歓:すごくおいしいよ、でも私なら、最後に杏の花蜜をかけるかな。
無剣:杏の花蜜?
合歓:杏の花蜜は杏蜂が集めた蜜のことだよ。とっても甘くて、絶えることなく続くほのかな香りがあるんだ。
無剣:美味しそうだね、でも聞いたことがない。もしかしてあなたたちの世界の名物なの?
合歓:そうかもしれない、まさかこの世界に杏の花蜜がないなんて……
合歓は寂しそうな表情をした。何かを躊躇してるようだ。
無剣:大丈夫だよ、戻ったらいっぱい食べられるから。
合歓:でも、帰ったら泡揚げ餅と君が作るお菓子は食べられない。
無剣:心配しないで、持ち帰ればいいよ。
合歓:いくら持って帰っても足りないよ。
無剣:なら作り方を教えてあげるよ。
合歓:でも、違う場所だと食材も異なるよ、作り方だけじゃ役に立たないよ。
無剣:なら一緒に食材を探そう、帰っても作れるような……
合歓:違うよ、一緒に作ったお菓子じゃないと、美味しくないよ……
無剣:私も、もう少しあなたと一緒にいたいよ。
合歓:でも主の復活も急がなくちゃいけない。
無剣:主を見つけた後でも会えるよ。
合歓:うん、会いたいなら、いつかきっと機会が巡って来るはず!
無剣:うん、今度会ったときは、また一緒にお菓子を作ろう。
合歓:いいよ、その時は碧瑤様にも食べさせよう。
無剣:はは、約束だよ。
合歓:うん、約束する!
無剣:じゃあ自分の腕前を鍛えなきゃね?
合歓:うん、その時には得意技をいくつか教えるよ、君の料理の腕を飛躍的に上げてあげる!
ない袖は振れない、まずは材料を探しにいこう。ここにどんな美味があるのか見せてあげる。それを食べてから、また私を教えて。
合歓:いいよ、ちょうどあたしもお腹が空いたから。
そうして私たちは山で散歩をしつつ食材を探し、一緒に味わい、どうやったら美味しいお菓子を作れるか話していた。
合歓はどんな味に対しても真剣で、たとえ違う世界でも、ここでの味を再現できるだろうと私は思った。
同盟会話
〇〇の合歓:あたしも人を愛する気持ちを知りたい……
〇〇の合歓:本当に……本当に命を捨てるほどなのかな……
〇〇の合歓:じゃあ……この辺な感情は……愛情なのかな……
〇〇の合歓:おーい、そこの君!
〇〇の合歓:ここがどこか知ってるんでしょ?
〇〇の合歓:じゃあ問題を出すよ……出口はどーこだ?え?……ま、迷ってなんかないって!
〇〇の合歓:テンジャのやつ、どこに行ったんだろう?
〇〇の合歓:彼を見かけたら教えてね。
〇〇の合歓:早く戻らないと、碧瑶……
判詞
二句目 心の中は本心のまま痴情である
三句目 秘法や魔力の音で悪鬼を燃やし
四句目 血を流して愛情に忠誠
五句目 一番痛い恋は片思い
六句目 一番長い思いは思い合い
七句目 鈴の残魄の中で己を見つけ出し
八句目 あの人を探すことは一生変わらない
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