神雕 仲合、同盟会話
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大雕展翅
無剣:おーーい、誰かいないかなぁ?
私は苔むした石に座り上に向けて叫んだ。しかし辺りはこだまだけが響き、逆に底の静けさを際立たせるだけだった。
天気が曇り、私は足の怪我のせいでろくに歩けなかった。顔にぽたぽたと冷たい水滴が当たった。雨が降りそうだ。
「カァーーカァーー」と、カラスが崖にある枯れた枝から飛んできた。私の目の前に黒い羽根が一枚飛んできたので、無意識に手で掴んだ。
神雕:人?
私が羽を掴んだままぼーっとしていると、いきなり一つの影が空から降りてくるや巨大な翼が突然畳められ、私を驚かせた。
無剣:あなたは誰?鳥人?
神雕:鳥じゃねえ!俺様はワシだ!あんたは誰だ?こんな寒いっていうのに、なぜここにいる?
無剣:わ…私も知らない……上から落ちてしまって……
神雕:ハハ、上から落ちたって?なるほど~~俺様は気づいた、あんたは翼がないから、俺らワシと同じように飛ぶことができない。
目の前にいる人……いや、目の前にいるワシは軽蔑の眼差しで私を見つめた。
神雕:まさか上からここまで落ちていたとは、あんたの頭と目は飾り物か?
私は少し怯えていた、足を怪我したせいで、すごく痛んでいる。一刻も早くここから離れたくて、助けを求めるような目で彼を見つめた。
無剣:私を連れてここから離れさせてもらえるかな?報酬を出すから。
神雕:ほう?報酬?俺様は金なんぞで釣れないぞ!しかし……フン!かわいそうだから、手伝ってやろう!
神雕:小僧、俺様の手をちゃんと掴んどけ、うっかり落ちたらドロドロの肉になっちまうぞ!そうなっても俺様の責任じゃねえからな!
彼は私を抱いて翼を軽く動かすと、一緒に飛んだ。彼が穏やかに飛んでくれているお陰で、私は下の崖を見ても、怖いとは思わない。
地面につくや降ろしてもらった。このワシ……毒舌だけど、実はやさしそうだ。私は彼をまじまじと見た。
無剣:雕お兄さん貴、ありがとうございます。
神雕:雕お兄さん貴?
彼は無愛想な口調で答えたが、何を思ったのかそれほど大げさにしなかった。しかしその呼び名に対しては不満げだった。
無剣:ぐぅ……
神雕:俺様の外見はどう見てもあんたより年上に決まっているだろう。年齢から見ると、あんたのひいひいひいひいひいひいひい爺さんになれるくらいだが、よもやワシ兄貴と呼ばれるとはな?
無剣:じゃあえっと……雕おじいさん?
彼は本気で怒ってきた。
神雕:フン!くそがき。
彼はそっぽを向いて行ってしまった。
無剣:おーーい
彼の離れていく背中を見ながら声をかけたが、応じてはくれなかった。既に翼を動かして飛んでいこうとしている。
雕お兄さんでも雕おじいさんでもだめなら……
無剣:おーーい、雕先輩。
彼はまた止まり振り返った。相変わらず無愛想だが、多少満足そうな表情を見せている。
神雕:よし、いい子だ。
歯に衣着せぬ
神雕:この足はどうした?怪我したのか?
この神雕と知り合って以来、彼の性格がだんだん分かるようになってきた。例えば彼は上下関係を重く見ていること。だから雕お兄さん貴とは呼ばず、雕先輩と呼んだほうがいい。
無剣:そうだ……前に転んたときの怪我……
もう心構えは出来ていたが、やはり、神雕は軽蔑の眼差しで見てきた。
神雕:自分で自分を守ることすらできないか?弱いなぁ。だが崖から落ちたのに、足しか怪我をしたのはマシだったな。運がいい。目も運と同じくらいよければいいのになぁ~
私は黙って彼を見た。彼はこっちを向き、しゃがんで私の怪我を見てくれた。
彼は毒舌だが、実はいい人。私が黙ったままの状態を見て、彼は眉をひそめた。
神雕:なんだ?不服か?怒ったのか?口喧嘩でもするか?
無剣:どうして……私が怒って、口喧嘩したそうに言うの?
神雕:俺様は昔ここであるキツネと知り合った。キツネはよく俺様に甘えて口喧嘩したから、俺様はあんたも同じだと思った。
無剣:キツネ?かわいい?
神雕:かわいいさ、もちろん。けど、あんたはもう会う機会がないな。ここから離れたばかりで、どこへ行ったか分からない。
無剣:あれ?どうして行っちゃったの?
私はちょっとがっかりした。
神雕:たぶん最近は魍魎が多すぎたから、怖がって別の所へ行ったのかもしれない。
無剣:それじゃ雕先輩……ここから離れたいって思ったことはある?
神雕:いえ…何も。
神雕は無愛想になって、怖い目で私を見た。
無剣:なぜ?
私はただ聞きたいだけで、彼から向けられる眼差しは別に怖くはなかった。
彼はしばらく黙っていた。
神雕:あの穴を見たことはあるか?
彼は目の前にある真っ黒な穴を指した。遠くにあるから穴がぼやけていて、まるで幻を見ているようだった。
無剣:うん、見たことあるよ。
神雕:俺様はあそこで仲のいい友人と知り合って、長い間一緒に暮らしていた。
神雕:今じゃ彼はいなくなったが、俺様は彼の遺志を叶えたい。
無剣:何の遺志?
神雕は再び沈黙した。そして軽蔑の眼差しで私を見た。
神雕:あんたに知る権利はない。
無剣:えっと……もし先輩が言いたくなかったら、断ってもいいよ。
神雕:それはすまない。俺様はいつも直球で、断っていいということ分からない。
私は無言になった。
無剣:キツネが離れた後、ここではワシ先輩しかいなくなった?
私は何を言えばいい分からなかった。
神雕:そうだ、それがどうした。一人で自由だ。功夫を鍛えたり酒を飲んだりして、毎日が自由そのものだ。
無剣:でも一人ぼっちで、話し相手がいなくて寂しくない?
頭の中に黒い夢の中にいる自分が浮かんだ。周りは真っ暗で、息が詰まりそうな冷たい空気が漂っていて、そして自分はずっと走っている。
彼は口をゆがめた。
神雕:あんたは今、俺様と話をしているんじゃないのか?まさか自分が人間ではないとでも思っているのか?
無剣:……
良丹苦口
私はぼんやりと目を覚ますと、目の前に黒黄色い翼が見えた。
神雕が視線を上から下へと移して私を見つめ、額にある紅玉はキラキラと輝いている。目をこすった後、彼が手に何かを掴んでいることに気づいた。よく見てみるとびっくりした。
無剣:ぎゃあ!蛇!蛇がいる!先輩!蛇!
神雕:……この蛇は死んでいる。
無剣:えっと……さっき緊張していたから気付かなくて。ワシ先輩は蛇を掴んで何をする気?
神雕:あんたはずっとここにいるが、お腹がすいてないか?
無剣:そ……それを食べろと?
そのふにゃふにゃとしたでかい蛇を見て、なんとなくぞっとした。
神雕:当たり前だ、蛇の肉っていうのはすごくいいものだ。蛇の胆はもっといい。怖がるな、俺様がちゃんと煮た後お前にやろう。
彼は真面目に調理し始めた。柴木を焚き、どこからもらったのか分からない鍋もある。
無剣:この蛇でスープを作る気?
彼は無愛想に答えた:
神雕:まさか俺様に料理して欲しくないのか?俺様はあんたより偉いんだぞ。 あんたがすごくかわいそうだから、この俺様が蛇のスープを作ってやってるんだ。
無剣:……
神雕:よし、出来上がった。調味料がなくて残念だ。味はどうなっているか分からないが、早く食べろ。心配するな、蛇の肉は胆ほど素晴らしくないが、良い物だ。
無剣:どうして蛇の胆を入れて煮込まないの?
神雕:あんたは贅沢だなぁ、これは内功を鍛えるのに効果があるんだぞ。
無剣:あ……そう言えば、誰かがそんなことを言っていたのを思い出した。蛇の胆はものすごく苦いと。
神雕:味で食物を評価するような愚か者どもめ!実に嘆かわしい。
神雕:あんた信じてないのか?それじゃあ、俺様が一つ食べさせてやるのはどうだ?もしかすると今後うっかり谷に落ちることはなくなるかもしれんぞ。
無剣:嫌だ……甘いものは好きだけど、苦いのは嫌い……
神雕:そういえば、気になるんだが、何であんたはここにいるんだ?
神雕:もうずっとここには人がいないから、谷の下であんたを見かけたとき、正直驚いた。
無剣:私……私も分からない。ただ、あるところへ行かないといけなくて。
神雕:遠いとこか?
彼が私を見つめる様子が、どこか悲しげに見える。
無剣:遠くないよ、その場所はこの辺りにある、けど……
神雕:俺様は長い間ここにいるから、周りの場所に詳しい。あんたが行かなきゃいけないって言うなら、助けてやろう。
無剣:わ……私は剣塚を探しているの。
彼はとてもびっくりして……なにやら複雑そうな顔でこちらを見ている。
無剣:どうしたの?
俺様は改めて気付いたよ、あんたって本当に馬鹿だな。
無剣:どうして?
神雕:俺様が前に指したあの黒穴が、あんたが探している剣塚だ……
私は顔を手で覆って、そこから離れた。
美玉で報いる
無剣:先輩が前に言っていた剣塚で知り合った友達は……
神雕:間違いない、彼だ。
神雕の顔に懐古的な表情が浮かんだ。
無剣:教えて……どうして人々は天下一になりたがるの?
神雕:たぶん武道の頂点に触れて、自らの武道を完璧にしたいんだろう?
神雕:だがこの世にいて、相手になるやつがいなかったらつまらなくてさびしいと思わないか?俺様のように。
私は無言になった。
神雕:まあ、いい。こんな重い話はやめよう。
彼は無愛想に口をゆがめて、私を見た。
神雕:楽しい話をしようか。
無剣:なに?
私は慎ましげにお願いした。
神雕:俺様はこの間誰かが一羽のウサギを追っているのを見かけたんだが……
無剣:私だ。
神雕:うまく走れず、しかもいきなり出てきたヒョウに一呑みにされてしまいそうになっていた。ククク。
無剣:……私だ。
無剣:本当に情けなかった。
彼は私を見つめ、しばらく経つと顔に微笑を浮かべながら立ち上がった。
神雕:俺について来い。
無剣:ん?
私はちょっとびっくりした。神雕はどうして突然俺様って言わなくなったんだろう?そう戸惑いながらついていくと、ヒョウの死体が目に入った。
神雕:知ってるか?ここでは決まりごとが一つあってな、誰かが果敢にも「俺様」の友達をいじめようものなら、そいつは死へ一直線だ。
無剣:先輩……
神雕:ほら、ウサギだ、やる。
無剣:私は彼が投げてきたふわっとしているウサギを取り、とても嬉しくて感動していた。
彼は私の笑顔を見るや機嫌が良くなったようで、大笑いした。暫く経つと、彼は空に輝いている星を見ながら興味津々に聞いてきた。
神雕:は空に輝く星を見てみろ、なかなか綺麗だろう。どの星が俺様だと思う?
無剣:えっと……一番明るい星かな。
神雕:なぜ?
無剣:先輩の実力がすごいから。
神雕:ほお?実力のすごいやつが明るいか?ハハ、小僧の考えは実に面白い。だが俺様はあんたこそが一番明るい星だと思うぞ。
無剣:なぜ?
今回は私が聞いた。
神雕:どうして?別に。俺様はあんたより年配だから、俺様がそう言うならそうなんだ。
無剣:先輩……
神雕:うん?あんたは俺様の話を聞いて、すごく感心して、お礼を言うのか?
無剣:ううん、どこかで聞いたことがある。空の星たちはすごく遠いところにあって、その遠い星空の中で消えていってしまう。私たちがそれらを見つけても、実は既にいなくなっているんだって。
無剣:ずっと考えている。私たちは存在していると思っているけれど、本当はすでに消えてしまっていて、それなら……存在する意味ってなんだろう?
神雕:それはつまり…
無剣:もし誰かが人々の前に現れることもなかったのなら、いなくなっても誰にも知られることはなくて、それは存在していないことにならない?
無剣:しかもある日、人々が突然その人のことを知ったところで、本当に存在していると言えるのかな?
無剣:わ……私が言いたいこと、先輩は分かってくれるかなぁ……
神雕:バカめ、俺様が分からないはずがないだろう?
私は彼を見た。彼は輝いている星を見ている。その星は彼の額にある紅玉と同じように輝いていた。
同盟会話
◯◯の神雕:ははは、誰かと思ったが!
◯◯の神雕:微妙に懐かしく感じるがな。
◯◯の神雕:どこに行こうとも、何をしようとも、心のままにした方がいい。
◯◯の神雕:木剣はやりすぎだな……
◯◯の神雕:剣魔が去った以上、たとえ木剣が剣境を壊そうと意味はない。
◯◯の神雕:それに、剣魔は決して剣境の崩壊を望んでなぞいない。
◯◯の神雕:勝負でもするか?
◯◯の神雕:はは、武器は持っていないが、この身一つでも相手に痛い目にあわせてやるさ。
◯◯の神雕:俺様の見当違いでなければ、貴様は俺様の実力をよく分かっているだろう?
判詞
二句目 修練は一人で飲みこみ逍遥する
三句目 孤高の暮らしで世間のことは問わず
四句目 傲慢でありながら理に拘りがち
五句目 一喜一憂はいつも思いのつき
六句目 昔の約束は必ず守る
七句目 翼で善良な意思を守るため
八句目 夜空の星を灯して導く
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