浮生 仲合、同盟会話
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仲合物語
別離を告ぐと思う
まるで昔と同じように。
当時の事をいろいろと思い出しながら
険しい山道を進み、ようやく彼に追いついた。
無剣:待て!
彼は足を止めて、少し躊躇したあとに、
微笑んで振り向いた。
浮生:ん?
今になって、まだ何か話があるのか?
無剣:緑……
浮生:前にも言ったけど、
俺は本当の「緑」じゃない。
俺は、浮生。
目の前にいるこの人は、身なりは変わったが、その顔は私のよく知る顔だ。
そのよく知っている声で、私にかけられたのは、馴染みのない無情な言葉だ。
無剣:うん…浮生。
貴方は緑のふりをして長い間私のそばにいた。
なぜそこまでして…
浮生:燕雀いずくんぞ、鴻鵠の志を知らん。
俺には俺なりの志があり、それを叶えるためなら何も惜しまない。
無剣:何もですか…
本性に背いたことも、長い間身を潜めていたことも、
そして…私…たちのことも?
浮生:……………………………………
浮生の目に何か閃いたものがあったが、それはすぐに消えていった。
そして目元にまたいつもの笑みを浮かべた。
浮生:男は、大きな手柄を立て万人を凌駕する。
そのためには、少しの犠牲があっても構わない。
浮生:今はもう誰かのふりをしなくてもいい、実に幸せだ。
無剣:…あの過去には、貴方にとって何の「幸せ」もなかったの?
浮生:…当然だ。
俺が凡人と一緒に野宿するなど、
災難としか言えない!
浮生は一瞬止まったけど、
そのあとに続く言葉は全く躊躇いがなかった。
気のせいか、
何だか、私に対して言ったというより、
彼自身に言っているように感じた。
無剣:本当にそうだとしたら…
「緑」と呼んだときどうして振り返ったの?
無剣:どうしてその名前に反応するの?
浮生:それは俺は本当の「緑」じゃないから、
この名前で俺を呼ぶ人は、
この世で僅かしかいない…
浮生:この名前を聞くたびに、
そう呼んでいた人を思い出す…
無剣:…貴方……
浮生:フ、何でもない。
まだ用がある、これで失礼する。
無剣:緑…いえ…浮生…
今度は何回呼んでも、
あの白衣姿は振り返らず、だんだんと遠くなっていく。
あの「緑」、私の知っている「縁」は、
本当に帰ってこないの…か?
記憶は更に切なく
目の前の景色も自分の心境も、
昔とはずいぶん違っていた。
氷塊の針に刺された緑を連れて、玉鱗氷魚を探していた。
ここに来た頃の光景を思い出す。
すべてが昨日のことのようだ。
みんなで力を合わせて魍魎を追い払った光景は今でも目に焼き付いている。
けど今はもう、何も…
無剣:は――……
思わず空を見て長いため息をついた。
耳に馴染みのある声が聞こえてきた。
緑:なに?
無剣:緑?緑!
心の興奮を抑えきれず、すぐに追いかけていった。
しかし…
浮生:ん?ここで何をしている?
無剣:浮生…貴方でしたか。
貴方もここを見に来たの?
浮生:フフ、そんな時間はない。
それに、ここのどこが懐かしいのだ?
無剣:私は…忘れられない…
初めて絶情谷に来たあの時と、
あの時の緑が忘れられない…
浮生:………………………………
しばらくの間、二人は黙り込んだ。
それぞれが思いを巡らせ、気持ちを整理していた。
ついに、浮生が先に沈黙を破った。
浮生:奇妙に思うのだが…
ずっと貴方を騙してきたのに、
本当に少しも気づいていなかったのか?
無剣:あなたをとても信頼していました。
今思えば、とっくに気づけていたはず…
けど私は気づきたく…信じたくなかった…
浮生:…貴方は…相当俺を恨んでいるだろう…
無剣:恨む?
無剣:貴方を恨むことで緑が帰ってくるなら、心に染みるまで貴方を恨むわ。
無剣:けど、こんなこと言っても無駄…
だから、私はただ縁が帰ってくるのを待つしかない。
帰って私との約束を果たしてくれると…
浮生:無剣、貴方…
浮生の表情が変わった。いつもの微笑みではなく、
複雑な視線で私の顔をじっと見ている。
彼の手は微かに動いて、私の方に伸ばそうとしているように見えたが、
少し躊躇った後、手を下ろした。
浮生:あの時ここで話したこと、まだ覚えているのか。
無剣:貴方が言ったんじゃない……
その日になっても、自分の言ったことを忘れないでいたいと。
私はずっと忘れていない…けど貴方は…
浮生:私も忘れていない――
だが、それはただ偽りの身で交わした、儚い約束。
浮生:でも、もし貴方が…
突然、かすかに人の声がして、浮生の話を遮った。
???:浮生、今誰と話していた?
この時間じゃ、風景を見に来る人も恐らくいないだろう?
私は全身が震えた。
浮生は思わず私を遠くの茂みに押し込み、
私は慌てて中に隠れた。
浮生:何でもない、ただ昔のことを思い出して、独り言を話していただけだ。
???:それならいい。
余計なことはしないでほしい。
浮生:…しないさ…
私は薄暗い茂みの中で、浮生が謎の人物と一緒に消えていくのをただ見ていた。
二人の姿が暗闇に消えていくとき、
浮生は一瞬振り返り、私のいるほうを少し見つめた。
無剣:浮生…
故人は去るばかり
緑:危ない!
緑:無剣…
もし…もしも、私が貴方を悲しませるようなことをしても…
緑:その時も、まだ…
私にその約束を守らせてくれるか?
無剣:もし貴方が毒で死んだら、
それこそ本当に許さないわよ!
浮生:はあ、その時になっても、
まだ今の言葉を忘れていないといいな。
無剣:あーー
急に浮生の面影が私の目を覚まさせた。
私は再度、これはもう過去のことなのだと、はっきり気づいてしまった。
心が乱れて、眠れなくなった。
いっそ服を着て、一人で散歩でもしようか。
突然、白い影が慌ただしく去っていった。
見覚えのある姿…
無剣:浮生?
私は影を追いかけ、その姿に触れようとすると…
浮生:…しつこいな、貴方は。
無剣:ふ、浮生、こんな遅い時間に、もしかして…
私は突然何かを意識して、深く息を吸った。
無剣:もしかして…私に会いに来たの?
浮生:…ただ敵の情報を探りに来ただけだ。
つまり貴方たちの動向を見張るということ。
無剣:敵の情報…ですか?
それなら、この場で私を殺せばいい。
浮生:殺さないさ…
俺の目標を達成するまで、貴方を殺す必要がない。
必要ないことで手間を取りたくない。
無剣:あ…貴方の目的は何?
何がほしいの?
浮生:フフ、俺の目的か――
浮生の話の途中で、近くの崖から突然大きい音が響いた。
無剣:ん?まさか魍魎?
あーー
巨大な岩が急に私に向かって落ちてきた。
無剣:まずい!逃げないと!
浮生:危ない!
いくら速く走っても転がる石には敵わなかった。
ここで命を落とすのかと思った矢先、浮生が力強く私を突き飛ばした。
私は横に転んだ。
振り向くと、浮生は既に一番大きな岩を真っ二つにしていたが、
小さな石礫に肩を打たれているようだった。
浮生:…くっ!
無剣:浮生!大丈夫?
浮生:うぅ…無剣、行…け…
もう…一人で俺に…会わないでくれ…
あ…ぶないから…
無剣:危ない?貴方はいつも私を…助けてくれている…
いつもいつも…。
無剣:私と一緒に帰りましょう、
たとえ貴方が誰であろうと、
みんなの心の中では、貴方は貴方…
浮生:…無剣…
やはり…俺はやはり…
浮生の顔が青白くなり、言葉は続かなかった。
私は手を伸ばし、その手を握ろうとした。
ただ少し躊躇した末、結局勇気を出すことはできなかった。
帰期は何時になる
私もまたあの時のように、親身に彼の面倒を見てあげた。
無剣:浮生、今日の調子はどう?
浮生:…もう大丈夫だ、行ってもいいか?
無剣:まだ完全に治ってないし、急ぐ必要ないよ…
それとも…あの人に…申し訳が立たないの?
浮生:あいつ?
あいつはただの俺の駒だ、
何が申し訳が立たないんだ?
無剣:じゃなおさら急がなくてもいい。
それとも…
私と一緒にいたくない?
浮生:…そんなこと言ってない。
私は笑ってみせて、それ以上話さなかった。
自分で地面に少し穴を堀り、
買ったばかりの鶏に泥を塗って、穴の中に置いて焼き始めた。
浮生:こ…これは…
無剣:覚えている?
やっと叫化鶏の作り方を覚えたの。
いつ帰ってきて食べてくれるのか分からないけど、作り方だけはずっと練習してた。
浮生は香る叫化鶏を見て、唇を少し動かしたが、
ずっと黙っていた。
無剣:できた。味見しよう!
浮生:…こんな俗物を、俺の視界にいれるのか?
世にはまだ素晴らしい料理がたくさんある。例えば…
無剣:たとえば、臨安皇宮の御膳、
鴛鴦五珍膾や茘枝白腰子、鶉子羹、羊舌籤、美酢香螺、牡蠣醸羊胃……
無剣:……それに中都の点心に、王邸の酒粕魚、酸辣……
浮生:そんなこと…よく覚えているな…
無剣:それは私が貴方を許せないからです!
身分を尊び、凡人を蔑む貴方が、約束も守れないなんて!
無剣:まだ臨安皇宮に行ったことも、
中都王府に行ったこともない…
「中都」の二文字を聞くと、
浮生は顔を上げて北のほうを見つめた。
その虚しい視線はまるで山々を越えるかのようだ。
浮生:…中都か…あそこは俺の故郷。
王府を出てからというもの、あの美食を口にしていないな…
無剣:今貴方は浮生に戻ったから、
帰りたい時に帰って、
食べたいものを食べることができるよね。
浮生:無剣…
まだ分かっていないのか?
浮生:どこで、何を食べるのかは、それほど重要ではない。
浮生:一番重要なのは…
その…
誰と一緒に食べるかだ…
無剣:ふ、浮生?
浮生は私を見た。その目は私が知っているようにも、知らないようにも見え、
あたかも絶情谷での縁かのように感じた。
浮生:無剣、
もし、もしも…
浮生:すべてが終わり、結果がどうなったとしても、
まだあの時の約束通り、一緒に世の美味を食べてみたいというなら…
浮生:俺と一緒に…中都に帰ってくれるか?
浮生は怪我をしていないほうの手を少し動かした。
今回は手を戻さず、そのまま私の前に伸ばしてくれた。
私はついに勇気を出して、彼の手を握った。
無剣:もし、という話だけど、
私の答えにもしはない――
無剣:帰ったら、一緒に世の美味を食べ尽くそう、
まずは中都からね。
けど私は知っている、その肩の怪我が治ったら、私の元を去っていくのを。
次はいつ帰るのか分からない。
でも、その日々がどんなに長くても、私はずっと待ち続ける…
彼が帰ってくるまで…
同盟会話
○○の浮生:ふ、今まで持ちこたえたのは褒めておこう。
○○の浮生:しかし、これからはより大きな試練が待っているぞ……
○○の浮生:彼らも、お前も、努力を怠るなよ。
○○の浮生:お前は……
○○の浮生:ふ、見間違えたか……
○○の浮生:まあいい、これでお別れだ。俺が来たことは他言無用だぞ。恩に着る。
○○の浮生:……
(彼は隅の影に隠れ、遠くを静かに眺めている)
○○の浮生:はあ……俺はどうしたらいいのだろうか?
判詞
二句目 他人であっても馴れ馴れしく
三句目 玉樹のような外観でも根は先に死に
四句目 厚い友情ができてもすぐに消え
五句目 山の雲が如く出会いと別れを繰り返し
六句目 過去を変えらぬ無力さをただ悔やみ
七句目 かつて終南山で知らぬものはないのに
八句目 何故か今では白髪ばかり
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