金鈴 仲合、同盟会話
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仲合物語
一人、一隅
彼は一人で離れた場所に座って、考え事をしているようだった。
こちらの賑やかな雰囲気とは正反対だ。
私はそっと隣に座り、彼の顔をじっと見た。
無剣:金鈴、私と話さない?
金鈴:僕に構わないで、他に当たってくれ。
あっさり断られ、立ち去ろうとした瞬間に、彼と目が合った。
金鈴:…………
無剣:(なにか言いたそうな表情……もしかして、行ってほしくないの?)
無剣:金鈴、みんなと喋りたいなら、素直にそういえばいいじゃない。
金鈴:そんなことない。
無剣:じゃあ一人で何を考えているの?
金鈴:したいことがあるに決まってるでしょ。
無剣:したいこと?
金鈴は言いたくなさそうに、顔を背けた。
無剣:いつもそうやって話さずにみんなを避けているけれど、
私たちは金鈴のことを心配しているのよ。
金鈴:余計なお世話だよ、自分のことだけを考えていればいい。
無剣:金鈴っちは、いつも言っている事と思っている事が違うんだから。
金鈴:そ、そんなことは……
金鈴:それに、「金鈴っち」なんて呼ばないで。
無剣:金鈴っち、もしかして照れ屋さん?
金鈴:無剣ふざけないで。
無剣:はいはい、もうからかわないわ。
無剣:ねえ、一緒に景色を楽しんでいい?邪魔なんかしないから。
隣に座ると、彼は少し戸惑ったけれど、断りはしなかった。
金鈴:勝手にして。
冷たい口調だけれど、私が近づくのを許してくれた。
金鈴の髪がそよ風に吹かれて揺れ動く。
その顔は、少し穏やかになっているようだった。
無剣:気持ちいい風、綺麗な景色、魍魎もいないし…なんか気持ちいいね。
金鈴:……たまには、こういうのも悪くない。
無剣:え?今なんて?
金鈴:なんでもない。
そう言いながら、金鈴の口元には笑みが浮かんでいた。
思念の地
無剣:(こんな真夜中に……いったいどこへ?)
心配になって急いで起き上がり、こっそり彼の後を尾ける。
暗闇の森をしばらく歩くと、金鈴はある洞窟を見つけ、その中へ入っていく。
洞窟の入り口から覗くと、その中はどこへ繋がっているのかもわからないほどの暗闇だった。
無剣:(ダメ……金鈴を放っておけない。)
暗闇に足が足が竦んだが、私はすぐに迷いを捨て、彼に続いて洞窟へと入った。
洞窟の中は真っ暗で、一寸前も見えないほどだった。
私は冷たい石壁に沿って、少しずつ前へ進む。
冷たい風が洞窟内に吹き込み、「ゴゴー」と鳴り響く。
その音に不安が恐怖へと変わり、私は足取りを速めた。
すると突然、生暖かい物に触れ、私は思わず悲鳴を上げた。
無剣:っひゃ!
金鈴:無剣、静かに!
暗闇の中で、すぐ近くから金鈴の押し殺した声が聞こえた。
無剣:金鈴か……
さっき触れたのは、彼の手だったようだ。
金鈴:何しに来たの?
無剣:あなた一人だと……心配で……・ついて来たの。
金鈴:ここは危ない、早く戻って。
無剣:それなら、なおさら一人にはさせられない!一緒に帰ろう。
金鈴:先に戻って。
無剣:でも……こんな暗闇の中で……私一人で……
金鈴は少し躊躇した後、怖がる私に一歩近づいた。
金鈴:ついてきて……もう大声は出さないでよね。
暗闇の中で、彼は私の手を握ると、洞窟の奥へと歩き始めた。
相変わらず何も見えないけれど、なんだか安心感が沸いてきた。
不思議なことに、金鈴は迷うことなく進んでいく。
無剣:金鈴、こんな暗闇の中でも道が見えるの?
金鈴:光りがあまり入らない古墓で長年暮らしていたから、慣れてるんだ。
無剣:暗闇の中で暮らすのって…不便じゃない?
しばらくの沈黙の後、金鈴はゆっくりと話し始めた。
金鈴:古墓での暮らしが懐かしいよ。その全てが……懐かしい。
金鈴が本心を語ってくれたのは、これが初めてのことだった。
無剣:いつも夜に一人で出かけていたのは、
一日でも早く帰れるように「引魂鏡」の在り処を調べていらからなの?
金鈴:もっと早く帰れれば……
無剣:大丈夫!絶対古墓に帰れるよ。
私がいつかあの夢中の剣塚を見つけるように。
この時私は、金鈴の古墓への思いが少し分かった気がした。
無剣:一緒に古墓を探そう。
金鈴:…あっ、ありがとう…
心湖の漣
さらに近づいてみると、金鈴が一匹の白い子猫と戯れていた。
子猫は頭を撫でられて、気持ちよさそうな声を出している。
こんな金鈴は見たことがなかった。
子猫を優しく撫でる彼の表情には、普段見せない無邪気さが溢れていた。
そっと見守るつもりだったけれど、顔を上げた彼と目が合ってしまった。
無剣:あの……
金鈴:なに?その目は。
無剣:いや……こんなあなたを見たことがなかったから。嬉しそうだね?
金鈴:僕にとって動物たちは、幼い頃からの友達みたいなものだから……
子猫を撫でる彼の笑顔は、懐かしい思い出に浸っているようだった。
無剣:長い間古墓で暮らしていたと前に言ってたけれど、そこにも動物がたくさんいたの?
金鈴:ああ……終南山には花が咲き盛り、小鳥や小動物もたくさんいたんだ。
金鈴:たまに古墓に入ってきた同門達と遊んでね。
いつも兄弟子に言われたよ。小さな動物は弱いから、怪我させないようにって。
喋りながら、金鈴は指で子猫の毛並みを整えてあげている。
無剣:なんだか、猫ちゃんが羨ましいな……
金鈴:猫が羨ましい?自分を守ることもできず、傷つきやすいのに。
無剣:だから金鈴に守ってもらえるじゃない。
彼は一瞬目を細め、私から目をそらした。
金鈴:無剣……君が危険な時は、守ってあげるよ。
突然、石が湖に転がった。それに驚いた子猫は、草むらへと逃げ込んでいった。
金鈴:無剣、もう戻ろう。
そう言って金鈴は立ち上がる。
私も一緒に帰ろうとしたけれど、名残惜しくて振り返り、湖を眺めた。
鏡のような湖面に、さざ波が立ち始めた。
本懐
夢にまで見る「剣塚」……一体どんな場所なんだろう?
金鈴:無剣、何を考えているの?
背後から金鈴の声が聞こえた。
振り向くと、いつの間にかもうすぐ側に近づいてきていた。
無剣:探しに来たの?
金鈴:勘違いしないで。
…通りすがりに、ぼーっとしている君を見かけて、声を掛けただけさ。
返す言葉が見つからず、私は彼を見つめた。
金鈴:それで……何を考えていたの?
無剣:夢の中の場所を思い出していたの。
必ずあそこに戻るって……
無剣:そこで何があったのかは分からない。
でも懐かしい…私にとって、とても大事な場所なんだと思う。
金鈴は隣に座ると、一枚の落ち葉を拾い上げ、掌に置いた。
金鈴:どんなに高い樹の葉でも、いずれは地に落ち根に帰る。
君の心が求める先なら、きっと重要な意味を持っている。
無剣:……あなたにとっての古墓みたいに?
金鈴:古墓は僕の家だから。
無剣:それなら、もう古墓に帰ってきたのに、金鈴はなんでまだ一緒に旅をするの?
無剣:金鈴も、みんなと別れたくないんでしょ?
金鈴:そうじゃないけど。
無剣:じゃあなんで?
金鈴:君は古墓を見つけるまで付き合ってくれた。
だから僕も君が夢の場所を見つけるまで付き合うよ。
あの夜の洞窟で話したことを、金鈴がまだ覚えていてくれたなんて。
私が一緒に古墓を探そうと言ったから、彼も恩を返そうとしているのだろうか。
私は焦って手を振ると、彼に話した。
無剣:私が好きでやったことなんだから、借りだとかそんなこと、別に気にすることはないわ!
金鈴:借りを返すとかそんなんじゃない。
それが僕の本望だから。
意外な言葉を聞き、私はただただその場に立ち尽くした。
無剣:本当に……剣塚を見つけるまで、私の側にいてくれるの?
金鈴は軽く頷いた。
私は小指を立て、彼の前に差し出した。
無剣:じゃあ……約束よ。
指切りしよう?
金鈴:うん。
優しく差し出された彼の小指が、私の小指と交わった。
同盟会話
○○の金鈴:今の私に……
○○の金鈴:皆を守りきることはできるか……
○○の金鈴:…ありがとう。
○○の金鈴:ちょっといいかな?
○○の金鈴:拂塵と氷魄はなにをしてるんだろう。ここ数ヶ月音沙汰が全くない。
○○の金鈴:彼らに…帰ってきて欲しい…
○○の金鈴:古墓の武功秘伝は全真教に負けたりはしない。
○○の金鈴:……これほどの武功は一人で習得できるような代物でもない。
○○の金鈴:それに、古墓には幾つもの秘密があるが、今はまだ…言えない。
判詞
二句目 霜や氷に月も溶けるよう
三句目 池の波に雲と葉が浮かび
四句目 深奥に潜む隠居した人
五句目 淡く光り透き通る本性
六句目 清らかで賢くどこか寂しげな
七句目 鈴の音のように遠く響き
八句目 白錦のように皺なき、雪上りのような浄さ
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・ちょっといいかな?
拂塵と氷魄はなにをしてるんだろう。ここ数ヶ月音沙汰が全くない。
彼らに…帰ってきて欲しい…1
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