光と影の交錯
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光と影の交錯
光と影、再び
曦月:東の祭壇、その力は柔とし;西の祭壇、その力は剛とする。
孤剣:南北が一極であり、陰陽が一極である。
曦月:東西は一極となり、剛柔は一極となる。
無剣:東西南北、循環往復、剛柔並済、陰陽交替。
霊は天地に宿る……
無剣:昼夜の彼方を跨いで、黄昏の中に再会する。
あの時の私はまだ力が回復しておらず、二つの陰陽玉佩を一つにするのが関の山であり、孤剣と曦月をその中から救い出すことができなかった。
だが今の私なら、陣法を維持しながら、孤剣と曦月の体を作り直すだけの力をもっているはずだ。
無剣:孤剣!曦月!お待たせ。
星宿法陣の祭壇は絶情谷の底、碧水寒潭の中にある。
絶情谷の外には、森が生い茂っている。
木々を通り抜け、木漏れ日を浴びながら進むと、鳥の鳴き声と風の音が聞こえてくる。
無剣:(あの時以来、長い間絶情谷へは来ていなかった。何か変わったことはないだろうか。
細道を歩いて森の奥へ進み、巨大な石の前で私は足を止めた。
木の上の鳥が「バーン」という音に驚いている。武器のぶつかる音と同時に何やら話し声が聞こえてくる。
無剣:(誰かが戦っている……?)
少年:影刃、何度言ったらわかるんだ。男ならもっと大胆になれ!
急に近くで怒鳴り声が聞こえた。足を止めて声の方向に目をやる。
背が高い方の少年が、顔をしかめて隣の男の子を叱っていた。
少年:双越合璧、その利きこと金を断つ。俺たち二人はお互いを補い、一緒に戦わないと。毎回俺だけが前に出てたらダメなんだ!
男の子:……わ、分かりました……
男の子は頭を下げたまま呟いた。だが彼の手はずっと少年の裾をつかんでいた。
少年:いつもそうだな、返事だけは早い。
男の子はすぐに頭を横に振り、そしておずおずと口を開けた。
男の子:ごめんなさい、兄さんの足を引っ張ってしまって。
少年:森には毎月、満月になると子供を食べる妖怪が出るという。俺と一緒に森を進む勇気はあるか?
男の子:は……はい……
少年:それはよかった、怖がってばかりだったら置いていくから。
男の子:に…兄さん……
少年は振り向くと大股で進んでいった。男の子は慌てて小走りで少年の後についていった。二人の姿が遠くへ消えていく。
無剣:(二人は兄弟だったのね……でも子供を食べる妖怪って…?)
日が暮れて西の空が赤く染まった。この兄弟のこと気にしている場合ではない、急いで碧水寒潭へ向かわなければ。
しばらくすると、絶情谷が柔らかな金色に覆われた。私は集中し、全ての意識を玉佩に注いだ。
曦月;偽りの絶景でも、ずっと闇夜の中にいるよりはマシです。
孤剣:あの毒々しい日の光の方が気持ち悪い。
無剣:あなたたち、思い合って昼夜交換して宿ったことをもう忘れたの……
曦月:どういうことです?
孤剣:聞いたことないな。
過去の出来事が一つ一つ蘇り、私は明るい光に包まれ、懐かしい力に導かれる──
再び目を開けた時、私はすでに黄昏の境の山頂にいた。ここには昼も夜もなく、あるのは永遠に続く黄昏のみ。
巨大な裂け目が空に現れたかと思うと、数匹の夢妖が私に襲いかかってきた…
刀剣の輝き
無剣:孤剣!曦月!
曦月:やあ、無剣、来たんですね!
孤剣:久しぶりだな。
曦月:なぜ急に黄昏の境に来たのです?私と手合せでもしたくなりましたか?
孤剣:フン、おまえと?
曦月:おや?私の剣ではご不満ですか?
孤剣:武術を習うのであれば、まず身の程を知るべきだ。
無剣:……長い間会ってなかったけど、二人とも相変わらずね。
曦月と孤剣はお互いを一瞥し、すぐ頭を横に振った。
孤剣:無剣、なぜ黄昏の境に?まさか私たちをここから出す方法が見つかったのか?
無剣:その通り。
曦月:こんなにも早く出られるとは思いませんでしたよ。この偽りの絶景に慣れてきたところだったのですが。
孤剣:ここが気に入ったなら、残っても構わないが。
曦月:はぁ、あなたねぇ……
無剣:碧水寒潭の四つの方向に祭壇を置いた。私がこの玉佩を離れた後、玉佩と剣境に通じる道を維持しながら、あなたたちを救い出す!
孤剣:だが、その方法では激しく力を損耗する。それに玉佩が開く際、裂け目が生まれる。夢妖や夢魔はそこを狙ってくるだろう。本当に支えきれると思うのか?
曦月:まあまあ、ここは支えきってもらうしかありません。無事に出られたら、お酒を奢りましょう。
孤剣:ふん、また酒か。
無剣:……
無剣:前回は私の力がまだ完全じゃなかったから、仕方なくあの方法であなたをこの黄昏の境に残すしかなかった。けど、今の私の力ならこの陣法を維持できるわ。
孤剣:危険だったら無理しなくていい。
無剣:構わない。
曦月:あなたは心配しなくていいのです。この者の腕前、存じているでしょうに。
孤剣:……
無剣:でも……黄昏の境を出るには、元のあの方法か……
私は山頂から下を見渡した、渦巻く雲の中から微かに夢妖と夢魘の叫び声が聞こえた……
孤剣:どうやら……本当に他に方法は無いらしいな。
曦月:はは、力をお貸ししましょう!
金色の斜陽
無剣:北の祭壇、陽に属し、南の祭壇、陰に属す。東の祭壇、柔に属し、西の祭壇、剛に属す。
無剣:南北は一極、陰陽は一極。東西は一極、剛柔は一極。
無剣:東西南北、循環往復、剛柔並済、陰陽交替。
魂を世に返す……
陣法は段々と動き始め、玉佩は強大な力に押されて、激しく揺らぎ始めた。
明るい光球が目の前で明滅し、亀裂を通って夢妖と夢魘がなだれ込んできた──
重見天日
無剣:ふ・・・・
曦月:ああ、ようやくです。再びこの谷の景色を……
孤剣:感謝する、世話になったな。
曦月:はあ、この草木、花や木、やはり懐かしいですね!
孤剣:ふ、玉佩にいた頃、そんな言葉を聞くことはなかったぞ。
曦月:あなたという人は、景色を楽しむ感性どころか、武術や茶以外の趣味などお持ちでないでしょう。そんなあなたに言っても無駄でしょ。
孤剣:お前の趣味など、尚更なんの役にも立たないだろうに。
無剣:せっかく玉佩から出たことだし、谷の中を散策でもしてみない?
曦月:それはいいですね。
孤剣:興味ないな。
無剣:さっき玉佩が開放された時に、どうやら多くの夢妖と夢魘も逃げ出したみたいなの。私は谷の外にある森を見てこようかと思う。逃げたやつが見つかるかも知れないしね。
孤剣:同行する。
曦月:玉佩から出たばかりですし、少し体を動かしてみるのもいいでしょう。
無剣:大丈夫、何かあるかもしれないし、あなたは谷に残っていて。すぐ戻るわ。
怯える雛
無剣:(おかしい、絶情谷に光が差している?)
怪しいとは感じつつも、私は森の奥へ入り込んだ。私は歩を進めるが、誰かに見られているような気がする。
無剣:(ここは、やっぱり何かおかしい……)
私は振り返り、周りの景色をよく見渡した。静かな森の中で、一つの草むらだけが動いている、これは怪しい。
無剣:そこにいるのは誰?
小さな人影が静かに草むらから出てきた、私はその姿に見覚えるがある。
無剣:君は……?
男の子は恐る恐る頭を下げ、後ろへよろめいた。
男の子:僕……僕はただ通りかかっただけで……
声が震えている、目はよその方向を見ており、すぐにでも逃げ出しそうだ。
無剣:(今日見かけたあの兄弟のようね。名前は確か…影刃?)
無剣:あなた一人なの?お兄さんは?
私が言い終わった途端、彼は頭を上げ、喜びと驚きの表情を見せた。
影刃:兄さんを知ってるの?!に、兄さんを見かけた?どこに行ったか知ってる?!
無剣:いえ、知らないわ。私は朝偶然あなたたちを見かけただけ。その後、彼は見てないわね。
男の子の顔は一気に沈み、落ち込んでいるようだ。彼が後ろに一歩下がると、空から一枚の葉が落ちてきた……
無剣:(いけない!彼の後ろに夢妖が隠れてるみたい!)
無剣:危ない!
影刃:こ、こんなにたくさん……
無剣:怖がらないで、前にいる奴らは私に任せて、あなたは援護をお願い。
影刃:ぼ、僕……本当にできるかな……
無剣:うん。
灰心喪気
影刃:はぁ……はぁ……
彼は激しく息を吸い、額には汗がにじみ出て、顔を引き締めて私を見ている。
影刃:ごめんなさい、足引っ張っちゃって……
無剣:あなたはよくやってくれた。
無剣:足手まとい?そんなことないわ、今の戦いで私を助けてくれたじゃない!
影刃:ほ、本当に?
彼は喜びの顔を見せたが、すぐに表情が沈んだ。
影刃:わ、わかっているんです、僕が弱いってこと。でなければ、兄さんにいつも叱られることもないですから。
無剣:……
無剣:足手まとい?そんなことないわ、今の戦いで私を助けてくれたじゃない!
影刃:ほ、本当に?
彼は喜びの顔を見せたが、すぐに表情が沈んだ。
影刃:わ、わかっているんです、僕が弱いってこと。でなければ、兄さんにいつも叱られることもないですから。
無剣:……
無剣:そう言わないで。
無剣:そんなことは言わないで、あなたがもっと勇敢になればいいのよ!
影刃:……はい、兄さんも僕によくそう言ってました。
彼は頭を振り、暗い顔を見せた。
影刃:やっぱり、僕は弱いんだ……
無剣:……
無剣:そんなことは言わないで、あなたがもっと勇敢になればいいのよ!
影刃:……はい、兄さんも僕によくそう言ってました。
彼は頭を振り、暗い顔を見せた。
影刃:やっぱり、僕は弱いんだ……
無剣:……
紅蓮の月影
無剣:赤い蓮?
影刃:うん……たくさんたくさん咲いてました……どこもかしこも蓮の花だらけで、そしたら兄さんを見失っちゃって……
影刃:あの森もかなり探したのだけど、兄さんを見つけることができなくて、そうしているうちに皆さんに会ったんです。
彼は何か思いついたのか、頭を下げて何かを呟いた。
影刃:兄さんは僕を置いて行っちゃったのかな?いつも戦うのが怖いからって、兄さんの後ろに隠れていたから……
影刃:僕が悪いんだ……いつも兄さんの足を引っ張ってたから……
無剣:そんな風に考えないで。あなたのお兄さんもあなたを探しているかもしれないわ。
彼は瞼を閉じて頭を振った、彼の細い体は夜風に吹かれ、ずっと震えている。
無剣:(この森は確かにおかしい、早く彼の兄さんを見つけなければ。)
無剣:もう夜も遅いわ、一度私と絶情谷に帰りましょう。
影刃:で、でも……
無剣:心配しないで、私は人を呼んでくる、必ずあなたの兄さんを見つけるよ。
彼は暫くためらっていたが、ようやく軽く頷いた。
絶情谷に戻った後、私は影刃のことを孤剣と曦月に伝えた。
曦月:ほほう?お兄ちゃん探し?はは……
孤剣:こんな時間だ、一人で外の森にいたのなら、恐らくはもう……
無剣:しっ……声を小さくして。
人見知りな影刃は、岩の後ろに隠れて不安そうに周りを見ている。
曦月:玉佩から出た途端、こんな面白いことに遭遇するとは。
孤剣:人探しなら急いだほうがいい、すぐに出立だ。
無剣:曦月、あなたはここに残って影刃の面倒を見てくれない?人探しは私と孤剣に任せて。
曦月:私が?
孤剣:面倒なやつが減るのなら、丁度いい。
曦月は口を尖らせると、隅に隠れている影刃の方を見た。
曦月:残念ですね、私も同行して冷やかして差し上げようと思ったのですが、留守番ですか。
曦月:まあいいでしょう、新参者の話し相手にでもなってお待ちしてますよ。
無剣:……
私と孤剣はすぐ絶情谷の外の森に向かって出発した。
静かな夜、光球は次第にその数を増やし、雰囲気は怪しさを増していく。
孤剣:この火玉は何なんだ……
無剣:恐らく……味方ではないようね……
突然風が吹き荒れ、巻き上がる砂の中から、一つの赤い光を放つ灯篭が私たちに向かって飛んできた──
すれ違う思い
無剣:森の光球は、一つ一つが灯篭だったのね!
孤剣:他にもいるな、灯篭だけじゃない……
彼は目を凝らして草むらに残った痕跡を見つめ、そこに向かって走った。
孤剣:出てこい!
孤剣は怒鳴り、剣で草むらをなぎ払った。草が何度か揺らいだ──
暉刃:ま…待って…
一人の少年が草むらをかき分けて、中から出てきた。彼はわざと何でもない素振りをして、私達に向かって笑った。
無剣:(影刃によく似ている、私達が探している相手で間違いないだろう。)
少年:通りすがりの旅人だ…
無剣:(うーん、どこかで聞いたようなセリフだ。)
無剣:あなたは影刃のお兄さん?
少年は驚いて顔を上げた。その顔にはもう偽りの笑いはない。
暉刃:誰だあんたたち?!
無剣:私は偶然彼と出会ったのよ。彼はあなたを探していたわ。
少年は半信半疑で私たちを見た後、急いで私たちの背後を覗き込んだ。
暉刃:影刃はどこだ?なぜあんたたちと一緒じゃない?
私は影刃と出会った経緯を彼に説明したが、彼はまだ疑念を抱いている。
孤剣:本当かどうか、絶情谷に行けば分かるさ。
暉刃:弟の為だ……いいだろう。
少年はいつでも逃げ出せるように、少し離れて私たちの後ろをついてきた。
孤剣:怪我してるのか?
暉刃:俺は……
孤剣:強がるな、しっかり付いてこい。
しかし案の定、私たちが谷に帰る道中にも、夢妖が立ちはだかった。
消えぬ不安
無剣:影刃、影刃?
曦月:はぁ……
私は周りを探してみたが、影刃の姿は見当たらなかった。
無剣:まさか?!曦月、影刃はどこに行った?
曦月:あの子?はぁ、本当にくだらない。
無剣:何が起った?
曦月:それはですね……
一時間前……
曦月:やあ新入り、どうして黙っているのです?
影刃:……
曦月:このままでは退屈でしょう、ちょっとした物語を語って聞かせましょう。
影刃:……
曦月:昔々、山がありました。そして山の中には森がありました。森の中には、白い服を着た大きな怪物がいました。
曦月:毎晩その怪物は、きれいな灯篭の光で道に迷った子供を引き寄せて、洞窟に誘導するのです。
曦月:それで、何をすると思います?
影刃:…!
曦月:あっははは!逃げないでくださいよ、冗談ですよ、ちょっと──
曦月:その後、彼女は森に入ってしまいました。はあ、大の大人が小さな女の子を無理に引き留めるわけにもいかないですからね。
孤剣:……馬鹿者。
曦月:あれ?あなたたちが言ったように、あの子の面倒を見ただけではありませんか?
孤剣は鼻で笑い、頭を振ったが、私は後ろからの鋭い視線を感じ、居ても立ってもいられなくなった……
暉刃:嘘つきどもめ、俺の弟が男か女かもわかってないじゃないか……
暉刃:(まさか……本当に子供を食べる妖怪に?!)
彼は少しずつ後ずさりし、目は私たちを睨み、手に取る武器も寒光を放っている。
暉刃:弟に何かあったら、あんたたちのこと許さないからな!
曦月:怪我をしている子供が、何をするつもりですか?
暉刃:この野郎……!
彼の蒼白い顔色は瞬く間に赤くなり、そして勢いよく振り返って絶情谷の外へ走り出した──
無剣:ちょっと、待って!
私は少年を追った。孤剣は後ろについてきている。曦月はゆっくりと谷を出て、顔を上げて空を見た。
曦月:へえ、男の子だったんだ……
赤焔遊龍
無剣:待って!止まって……
少年は私の呼びかけを無視し、ひたすら前に向かって走っていく。
無剣:ここは危ない、気を付けて!
点在する灯篭が、まるで燃え盛る龍のように、私たちに押し寄せてくる。
深森の迷灯
暉刃:はぁ……はぁ……はぁ……
彼はようやく足を止めたが、額には汗がにじみ、顔色は更に悪くなっていく。
無剣:ごめん、私がちゃんと彼のことを見ていなかったせいね。
暉刃:もういい、嘘をつくな。お前らは……お前らは妖怪だ!
無剣:どういう意味…?
暉刃:俺を馬鹿にするなよ!こうなったら俺も食ってみろよ!
無剣:……
私は彼を落ち着かせようと近づいたが、彼は用心深く後ろへ下がった……
暉刃:この提灯は、お前らが子供を惑わすために用意したんだろ?!
暉刃:俺がもっと早く見抜けていたら……
無剣:(どうやらこちらが悪人だと決め込んでいるようね……)
暉刃:俺のせいだ……あいつをここに連れてこなければ……
彼は涙を浮かべながら、拳を握った。
無剣:はあ……私のことを信じるかどうかはともかく、今一番重要なのは、あなたの弟を見つけることよ。
暉刃:ふん、白々しい。
無剣:私は仕方なく頭を振り、そして空に舞う灯篭を見ている内に、あることに気付づいた。
無剣:この灯篭の並び方はおかしいわね、まるで同じ場所から出てきてるみたい。
暉刃:……
私は、まだ警戒している暉刃を横目に、灯篭が一番多く集まっている場所に近づいた……
兄弟一体
光は森の奥で一箇所に集まり、より大きな光球になった。そしてその光球の中に、一つの小さな人影がよろめいている。
彼は何か言葉をつぶやき、顔をしかめている。目は辛うじて開いているようだ。
影刃:兄さん!!!
影刃:兄さんを返して!
彼は飛び交う光球から逃げるをやめ、歯を食いしばりながら逆に光球に攻撃をし始めた──
暉刃:だめだ!この光は!
暉刃:影刃!だめだ──
いつの間にか、暉刃が後ろを付いてきていた。光に包まれる弟を見た途端、彼は勢いよく走りだした。
暉刃:影刃、早く目をつぶれ!
影刃:兄さん?!
暉刃:影刃!
影刃:兄さん!よかった、生きてた!
暉刃:……
影刃:ご、ごめんなさい、そういう意味じゃなくて……ぼ、僕……
暉刃:バカ!
変幻する世界
集まる灯篭の中心部には、長髪で白い服を着た人影が朧げに見える。彼女はいつも私たちの攻撃を避けている……
無剣:影刃、暉刃、武器を一旦しまってみて。
その兄弟二人は息を切らしながら武器を振りかざし、灯篭と戦っている真っ最中だが、私の話しを聞くと、影刃は動きを止めた。
暉刃:影刃?!
影刃:……ごめんなさい、兄さん。でも……
影刃:この人*1は……悪い人じゃないんだ。
暉刃は複雑な表情を浮かべ、頭を下げる弟と私を見ると、暫く経った後にようやく武器を下した。
点在する灯篭は攻撃をやめ、再び集まって列をなし、一つの方向に飛んでいった……
無剣:その方向は……
無剣:森の出口?この列をなしている灯篭は森を出る方向を示しているの?
私は少し驚き、振り返って灯篭の中心を見た。あの白い人影が少し笑ったように見えたが、すぐに消えてしまった。
私たち三人は森の隅に押し寄せて行く灯篭を見つめながら、しばらくの間、誰も口を開かなかった。
暉刃:これが、伝説の真相なのか……
影刃は兄を引き寄せて、彼の服の端をそっと引っ張った。
暉刃:無剣、あの……さっきは悪かった……
暉刃:弟を見つけてくれて、ありがとう……
彼の目線はまだ少し強張っていたが、顔には後ろめたさと感謝の色がにじみ出ている。
曦月:ふっ、ガキんちょが謝ることもあるのですねえ。はっははは。
遠くから曦月の笑い声が聞こえてきたかと思うと、孤剣と曦月が共に歩いて来た。
孤剣:花提灯が集まっていると思ったら、やはりここにいたか。
曦月:ふふっ、良い人と悪い人、見わけられるようになりましたか?
暉刃は皮肉を言う曦月を見つめ、警戒的な目のまま、弟を自分の後ろに隠した。
暉刃:お前、弟をいじめたな?怖がってるじゃないか!
影刃:いえ……この人たちは……い、良い人です……
曦月:あらあら……私は本当に何もしてないのですよ。
無剣:(……お前は本当にいじめてなかったか?)
空がだんだん白くなってきて、ひらひらと舞う提灯の明かりも徐々に森の果てに消えていった。
孤剣:ここに提灯が一つ残ってるぞ。
孤剣が地面から提灯を一つ拾い上げた。
曦月:ひと思いに……割ってみましょうか?
孤剣:ちょっと待て。文字が書いてある。
提灯をよく見ると、薄く「捉える」という文字がある。
無剣:これは…もしかして灯謎?「捉える」の文字はいったい?
孤剣と曦月は目を合わせるが、言葉が出ない。
影刃は兄の手をそっと掴んで、顔を上げて笑った。
私は提灯をひっくり返してみたが、空っぽで謎も答えもなかった。
翌日の朝、美しい朝焼けは、絶情谷の空を淡く染めた。
見覚えのある、もの寂しい影が巨石のそばに寄りかかっている。
無剣:(曦月……かしら?)
私は近づいてみた。いつもニコニコしている曦月だが、この時の表情は真剣そのものだった。
無剣:どうしたの、何か考え事?
曦月:ふふ、まさか……みなさんを困らせる方法を考えていただけです。
無剣:初対面でもないのに、まだ私を騙せるとでも?
曦月:……ははは、友達ってのは意外と面倒な存在なのですね。
曦月:実はですね、私は以前から湖港を渡り歩くのが好きでした。今回玉佩に長く閉じこもっていた間、星は遥か遠くまで巡り、時は遠くまで移ろいました。そろそろもう一度、剣境を見て周るべきかと思っています。
曦月:昔…私も少なからず友がいました。本心建前を問わず、もう一度酒を飲み交わし、言葉を交わしたいものです。しかし昨今の魍魎騒ぎ……ここを離れるとなると……
無剣:……
無剣:曦月、心配しないで。
無剣:確かにあなたが剣塚にいれば、みんなが安心できるわ。けど、昔の友達もあなたの助けを必要としているでしょう?
曦月:……
無剣:彼らを見つけたら、みんなで一緒に帰ってきて。木剣の陰謀はまだ続いているし、きっとまた戻ってくるはず。
曦月:うむ。ではこの件、任せてもらいましょう!有難うございます……
無剣:孤剣には別れの挨拶を?
曦月:いえ、この話は内密にお願いしますね。
無剣:うん、約束するよ。
曦月:では善は急げ、すぐに出発します。達者でいてくださいね、また剣塚でお会いしましょう!
無剣:ええ、また剣塚で。
無剣:確かにあなたが剣塚にいれば、みんなが安心できるわ。けど、昔の友達もあなたの助けを必要としているでしょう?
曦月:……
無剣:彼らを見つけたら、みんなで一緒に帰ってきて。木剣の陰謀はまだ続いているし、きっとまた戻ってくるはず。
曦月:うむ。ではこの件、任せてもらいましょう!有難うございます……
無剣:孤剣には別れの挨拶を?
曦月:いえ、この話は内密にお願いしますね。
無剣:うん、約束するよ。
曦月:では善は急げ、すぐに出発します。達者でいてくださいね、また剣塚でお会いしましょう!
無剣:ええ、また剣塚で。
無剣:あなたの考えはわかる。
無剣:確かにあなたが剣塚にいると、みんなが安心できる、けど、昔の友達もあなたの助けを必要としている……
無剣:けど、今の剣境は混乱に満ちていて、彼らを探すのは海で針を探すように難しいわ。それならむしろ私たちは先に剣塚に戻って、人を手配して情報を集めた方がいいと思う。
曦月:うむ……確かに一理ありますね。
無剣:宜しくお願いします!
曦月:そうだ、今日の事は内密にお願いできますか?このこと……孤剣に知られたくはないんです。
無剣:うん、約束するよ。
無剣:確かにあなたが剣塚にいると、みんなが安心できる、けど、昔の友達もあなたの助けを必要としている……
無剣:けど、今の剣境は混乱に満ちていて、彼らを探すのは海で針を探すように難しいわ。それならむしろ私たちは先に剣塚に戻って、人を手配して情報を集めた方がいいと思う。
曦月:うむ……確かに一理ありますね。
無剣:宜しくお願いします!
曦月:そうだ、今日の事は内密にお願いできますか?このこと……孤剣に知られたくはないんです。
無剣:うん、約束するよ。
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