第二章 崑崙山
タグ一覧
>最終更新日時:
第二章 崑崙山
聳え立つ雪山
私達は雪の上に座り込み、
寒さが凍る中やるせない気分になっていた。
屠龍:ここは仕合するにはいい場所だな、
倚天、一つ手合わせしないか?
倚天:氷と雪の世界…
確かに死ぬのには良い場所だな。
倚天:だったら、ここに埋めてやってもいいのだぞ、
冷えて気持ちよかろう。
緑:仲間同士なんだ、仲良くしようぜ!?
無剣:二人って結構仲いいんじゃないかな?
金鈴:楽しんでるんだろう?
この楽しさがわからんとは、可哀想な奴
緑:か、可哀想!?
緑:おいおい、
ったく、喧嘩が楽しいなら、魍魎とでも戦えば?
すると、突然魍魎が現れ、襲って来た。
金鈴:ふんっ。噂をすればなんとやら、だね。
緑:言ってる場合か!
突然の雪崩
倚天:雪崩だな。
緑:なぜ平然としてられるんだよ!
屠龍:黙れ!走らんか!
燎原の聖火
屠龍:はぁ……はぁ……おい早くしろ!
無剣:はぁ……もう走れない……
緑、早く……
緑:はあっ……はぁっ……もう……もうダメ、
このまま雪に埋めて……はぁ……
金鈴:はぁ……はぁ……
その死に方、流石に忍びないな……
はぁ……
突然、大きな雪の塊が落ちてきて、私たちは雪に埋まってしまった。
倚天:…………
屠龍:…………
無剣:…………
金鈴:…………
金鈴:君、口は禍の元って言葉、知ってる?
緑:みんな……ご……ごめん!
無剣:でも崑崙山で雪崩が起こるなんて…
倚天:おそらく魍魎の仕業だ。
金鈴:となると、どこも同じ感じかもね……
古墓は大丈夫かな…
金鈴:危険もなんとかやり過ごしたし、ここでお別れだ。
先に失礼するよ。
???:崑崙山はいつの間にか結界みたいな大雪で山は封じられてしまった。そこに行くことはできるが出ることはできないし、大量の魍魎がうろついている。
屠龍:聖火?お前なのか?
聖火:屠龍の坊やか!
ちょっと昔話でもしようか。
屠龍:その呼び方はやめろ…
聖火:屠龍の坊や、それがお前の命の恩人に対する態度か?
深手を負って、動けなくなってた時のほうが何倍も可愛かったなぁー……
屠龍:もう一度その名で呼んだら殺す!
倚天:呑舟の魚は枝流に游(およ)がず、
鷲は蠅を捕らえず。
金鈴:…っふふ。
緑:へっ?倚天さん何言ってるかさっぱりだよ。
屠龍:何を言われても構わん、
無視すりゃいいってことだ。
魍魎:ゴゴゴゴゴゴオォォ!
金鈴:それよりまずこいつらを片付けようか。
光明の道
緑:……なんか氷火島の状況に似てない?
倚天:やはりな。魍魎王を滅し、結界を破壊するしかないようだ。
無剣:でもその魍魎王はどこにいるのですか?
倚天:崑崙山で一番霊力の強いところはどこだ?
聖火:もちろん崑崙山の頂きである光明頂だ。
金鈴:氷火島の魍魎王は霊力の一番強いところに居た。
この場合もそうだと思う。
屠龍:崑崙山は聖火の庭みたいなもんだ!
早速明日、聖火に道案内を頼んで光明頂に行ってみるか。
暗夜の囁き
はぁ……はぁ……
走らなきゃ!肺が切り裂かれるように痛いけど、
止まってはいけない…
少しでも立ち止まったら、捕まってしまう。
あの人の願いが叶えられなくなる……
はぁ……はぁ……はぁ……
後ろから迫ってくる気配が、どんどん大きくなる……
その時、私は……
足を止まって、振り向ける
全力で逃げる
目の前の暗黒は際限なく広がっている。気が重くなった。
なぜ……わたしの知っている剣塚は、確か……
私の知っている……?本当に知っているのだろうか?
だめだ、考えている時間はない……
飲み込まれちゃう……
ああー!!!
悪夢から覚めた私は
冷や汗で服がびしょびしょだった。
こんな夢を見るなんて、
まさか……昼間の…
緑がこちらに気付いたようで、
近寄ってくる。
緑:大丈夫?
無剣:すみません、お休み中に……
緑:あっ!大丈夫だよ!
俺も眠れなかったから。
周りを見渡すと
頭数が合わない…?金鈴の姿がない。
無剣:金鈴……どこに……?
私は驚いて立ち上がる。
緑:どこに行くんだ?
無剣:こんな時間に金鈴がいないなんて……ちょっと周りを見てくる。
緑:金鈴を探しにいくのか?
手伝うよ。
二人で探したら効率も良いしね。
無剣:うん。
私は緑と手分けして金鈴を探し始めた。
野営地から少し離れたことろまで探したが、金鈴の姿は見つからない。
突然、物音がした。
???:奴らを長い間監察してきた貴様のことだ。何か気づいたことはないか?
奴に…何か変化は?
????:未だに発見されては……
???:変化なし?
いや、こいつが俺たちがずっと探していた奴で間違いない。
どうやら、まだまだ刺激が足りないようだな。
近づいてみたが、ふたつの影が消えていた。
おかしい……
さっきまでここで誰かが会話してたみたいけど…
錯覚か?
緑:金鈴見つけた?
びっくりして振り返ると、緑が後ろにいた。
無剣:ううん…。まだ……
緑:ずいぶん長く探したからな、
もしかしたらもう帰ってるかもしれない。
一旦戻ろう。
その時、遠くに金鈴の姿が見えた。こっちに向かってくる。
金鈴:何してるの?
あなたを探しに来たんだよ、
どこ行ってたの?
緑:みんな心配してるぜ。
金鈴:なんで僕を探してるの?
僕が迷子になったとでも?
その時、野営地の方角から、魍魎の叫び声がした。
緑:魍魎だ!
はやく戻ろう!
急いで野営地まで走る。倚天と屠龍がすでに何匹かの魍魎を斬り殺したところだった。
屠龍:残りをやるぞ!ついてこい!
崑崙の巓
金鈴:やはり、魍魎の邪気が濃くなってきた。
倚天:ふむ、思った通りだ。
魍魎王はこの近くに隠れているようだな。
屠龍:隠れる?
そいつが俺達から隠れられるなんて思ってんのか?
屠龍:こんな、世を害う得体の知れん化け物は斬るしかねえんだよ!
????:この身の程知らずの小僧どもがぁ!
俺のエモノに手出してんじゃねぇ!
突然、見たことない人が、私たちの前に現れた。
屠龍:あっはっは!
そんなこと言うなんて、ずいぶん身の程知らずなやつだな!
????:ふん!この青光利剣、その言葉に見合うだけの強さがあるか、試してみるか?
青光:ふん、少しはやるようだが……所詮はこの程度か
屠龍:不服か?
んならかかって来い!
倚天:無駄に力を使うな!
緑:そうだよ。敵は魍魎王だろう?
青光:魍魎王か?
ふん、そいつはもう用済みだ。お前らが欲しいのなら、持っていけ。
ただし今日の事、覚えておくぞ。
妖鏡再び
倚天:天地の精華が……あんなあやかしに乗っ取られるとは。
金鈴:あれは……?
無剣:鏡だ!前のと同じ……そう、あれは引魂鏡だ。
遠くに見える魍魎王の後ろには、氷火島にあったものと同じ、引魂鏡があった。
屠龍:さっさと魍魎王を潰す、そして鏡をぶち壊すぞ!崑崙山に平和を取り戻す!
魍魎王:ゴゴゴゴゴゴオォォ
獣耳の少年
トラ:おお、恩に着るぜ!
魍魎王から助け出された人は耳をピコピコさせて、八重歯を見せた。
無剣:その耳……本物……?
トラ:コレ?
よく聞かれるけどコレは本物だよ!
へへぇ、あっあっ!!引っ張らないで!いたい……いたいってば!
屠龍:本物だな。
倚天:なぜ魍魎に捕まってたんだ?
トラ:うん……あのとき、オレは確か砂漠にいたはずだ。鵰さんたちと遊んでたことぐらいしか、憶えてないけど
トラ:よし!俺もう帰るね、鵰さんたちが待ってんだ。
みんな、ありがとうな!また会おうぜ!
聖火:結界が破れ、外への道も開けた。皆ありがとう。
また一緒に集える日がくるといいね。
屠龍:また集まる?
次にオレが勝ったら、坊やなんて呼び方、ぜってえさせねえからな。
聖火:遠慮しただけさ。殺しあうより、追いかけられる方が俺の性分にあっているのでね。
屠龍:やっぱり会うのはやめだ!
倚天:失礼する!
無剣:聖火と別れ、私達は少し休養を取ってから翌日に出発することにした。
青の雑億
目を閉じても、青光と会った情景が頭の中から離れない。
青光……
天下の道を正すことを自分の責務とする彼のような人が、魍魎の一味となるなんて。
ん?彼のように?いま私は何と?
私は彼と……知り合いだったのか?
彼は、私の……古い知り合いなのか?
もしかして……むかし会ったことがある?
頭が痛い……思い出せない……しかし、よく知っているというこの感覚は、間違いない。
この人は……私の過去と関わりがあるに間違いない。
コメント(0)
コメント
削除すると元に戻すことは出来ません。
よろしいですか?
今後表示しない